水琴窟の再発見、復元、普及の経過
水琴窟の再発見、復元、普及の経過

◆ 経過の概要

東京農業大学の岸塚正昭助教授は「水琴窟の音響構造に関する実験的考察」(造園雑誌第55巻第5号、1992年3月)の論文で『“水琴窟”の語が文献上みられるのは1959年(昭34年)の本学会誌であり、庭園の道具としての、平山1)によるこの紹介が恐らく最初であった。古くは同じ系統の用語に洞水門があり、蹲踞の余水の排水装置として江戸時代に発祥し、2)明治から大正時代までは縁先鉢前の吸い込みの一形態としてそれは施工されたが、滴水音を風流に聴いて楽しむ音の文化的側面を重視し、いつの時代か粋人達によって同じものが水琴窟と呼称されたのであろう。1981年、当研究室が品川区から依頼され実施した調査3)を契機にその存在を朝日新聞が報じ、4)以来静かな水琴窟ブームとなっていることは周知のとおりである。』と述べられています。


引用岸塚論文中の註
1)平山勝蔵 (1959):庭園の水琴窟について:造園雑誌22(3)、14−17
2)上原敬三(1958):飛び石・手水鉢(ガーデン・シリーズ3巻):加島書店、128−132
3)金井 格(1981):旧吉田記念館庭園内の水琴窟現況調査報告書〔品川歴史館紀要第1号(1986)、58−64、所収〕
4)朝日新聞
 
(1982−9−25付):鳥取に最古の水琴窟
  (1983−4− 9付):水の音色、江戸の風雅、旧吉田記念館に水琴窟
  (1983−7−28付):天声人語
 
(1983−8− 9付):天声人語


そこで、日本水琴窟フォーラムでは、数少ない資料をもとに、『水琴窟』の再発見・発掘・復元・普及の経過を略年表にしてみました。
お気づきのことがありましたら特定非営利活動法人日本水琴窟フォーラム事務局まで情報をお寄せください。

■参考文献
・中野之也『水琴窟−構造とその作り方−』:日本の音研究所、1986年
・龍居庭園研究所編『水琴窟の話』1990年
・岸塚正昭『水琴窟の音響構造に関する実験的考察』 :造園雑誌第55巻5号、1992年3月

水琴窟の再発見・復元・普及の経過略年表

※表中の「日音研」は「日本の音研究所」の略です

西暦 元号 記事
  大正初〜昭和初     平山勝蔵氏、堀口庭塾で水琴窟の話を聞く
1937 昭和12年頃     平山勝蔵氏、鳥取県東伯郡尾崎邸で水琴窟に出会い、調査
1956 昭和31年頃     平山勝蔵氏、東京品川区の吉田邸で水琴窟に出会い、調査
1959 昭和34年 1   東京農大平山勝蔵教授、「水琴窟」論文を造園雑誌に発表
1981 昭和56年     東京農大造園工学研究室、旧吉田記念館の水琴窟調査
1982 昭和57年 9 25 朝日新聞「鳥取に最古の水琴窟」の記事でる
1983 昭和58年 1   鈴木茂一・中野之也氏等、日本の音研究所設立
1983 昭和58年 4 9 朝日新聞東京版「水の音色・江戸の風雅・吉田記念館に水琴窟」の記事でる
1983 昭和58年 7 28 朝日新聞「天声人語」に初めて水琴窟の記事でる
1983 昭和58年 8 9 朝日新聞「天声人語」に2回目水琴窟の記事でる
1983 昭和58年 9 4 朝日新聞名古屋版「ひととき」欄、愛知県一宮市中田珠子さんの投書「里の家で聞く水琴窟」のる
1983 昭和58年 9 10 CBCテレビ「ニュースワイド」で、三重県松阪市常徳寺の水琴窟を紹介
1984 昭和59年 1   名古屋市昭和区の高木邸に水琴窟を確認
1984 昭和59年 2   中日新聞の記事の反響。愛知県幡豆郡吉良町宝珠院・三重県松阪市志村邸の水琴窟を確認
1984 昭和59年 3 1 愛知県幡豆郡吉良町宝珠院で日音研メンバー「幻の水琴窟」に出会う
1984 昭和59年 4   日音研メンバー、東京都品川区役所の清水氏を訪問。旧吉田記念館の水琴窟についての復元の経過について聞く
1984 昭和59年 4 21 愛知県幡豆郡吉良町宝珠院に日音研メンバー鈴木・中野氏と東海ラジオ梅村、常滑陶芸作家山光氏集う
1984 昭和59年 5 15 日音研の鈴木・中野氏、東海ラジオ「ぶっつけワイド」に出演。水琴窟探しの話をする
1984 昭和59年 5 27 日音研の鈴木・中野氏と東海ラジオ梅村氏・番組構成担当の北原氏、福井県三国町宮本邸へ200年前の雪隠手水鉢水琴窟の取材
1984 昭和59年 5 30 日音研の中野、東海ラジオ梅村氏、東京品川区の旧吉田記念館へ録音取材
1984 昭和59年 6 10 愛知県幡豆郡吉良町宝珠院で水琴窟の花菖蒲句会開催
1984 昭和59年 6 6 日音研の鈴木邸に水琴窟復元完成
1984 昭和59年 6 18 東海ラジオよりラジオ番組「水琴窟」放送
1984 昭和59年 7 8 日音研の水琴窟公開、東海テレビ・イブニングニュースで放送
1984 昭和59年 7 9 日音研の水琴窟見学に東京ビジネススクール学生60名来所
1984 昭和59年 8 2 富山県利賀フェスティバル’84に、日音研の鈴木・中野氏、山光氏製作の壷中琴とともに参加
1984 昭和59年 8 21 NHK福井放送局「きょうのリポート」で水琴窟を放送
1984 昭和59年 8 下旬 BGM協会(東京農大岸塚・広島大学若尾・東海大泉山・東京芸大木村・農大卒五十嵐氏)は、東海・北陸の10箇所の水琴窟現地調査
1985 昭和60年 1 27 日音研の「水琴窟ひらき」に10名来所
1985 昭和60年 2 8 朝日新聞東京版「時の滴りが聞える」の品川歴史館の水琴窟記事でる
1985 昭和60年 2 26 日音研メンバー、東京品川歴史館の清水氏を訪問し、復元された水琴窟の音を聞く
1985 昭和60年 2 26 「庭」誌、別冊42号に、品川歴史館の庭と水琴窟が紹介され、また、日本テレビ・ズームインで同水琴窟紹介される
1985 昭和60年 3 20 京都市で、新旧2つの水琴窟発見される
1985 昭和60年 3 29 中部読売に日音研の水琴窟記事でる
1985 昭和60年 4 1 愛知県日進町広報に水琴窟紹介記事でる
1985 昭和60年 4 3 CBC、CTV、ワイドニュースで「水琴窟・壷中琴」放送。全国ネットでも放送
1985 昭和60年 4 6 中日新聞で「水琴窟・壷中琴」紹介記事でる
1985 昭和60年 4 11 日音研メンバー、岐阜県美濃市へ水琴窟調査。市内今井邸でつくばいの水琴窟発見
1985 昭和60年 4 30 京都市で水琴窟調査。右京区のは3年前久保庭師の製作、北区のは昭和初め製作の手水鉢水琴窟であった
1985 昭和60年 5 2 愛知県常滑市役所にて、東京品川歴史館への壷中琴の贈呈式
1985 昭和60年 5 17 中京テレビ・ズームイン朝で、日音研の「水琴窟・壷中琴」紹介される
1985 昭和60年 6 6 日音研の中野氏、名古屋市西ロータリークラブ月例会で水琴窟の講演
1985 昭和60年 6 16 愛知県幡豆郡吉良町宝珠院にて水琴句茶会開催される
1985 昭和60年 7 25 日音研メンバー、水琴窟で富山県利賀フェスティバル’85に参加
1985 昭和60年 8 19 岐阜県美濃市今井邸の水琴窟発見と復元の模様をNHKテレビが取材
1985 昭和60年 9 1 岐阜県可児市久々利春秋園で洞水門みつかる
1985 昭和60年 9 25 東京農大金井格教授一行と日音研メンバー、岐阜県可児市久々利春秋園の洞水門を調査
1985 昭和60年 10 23 中日新聞夕刊ワイドで、岐阜県美濃市今井邸の水琴窟が「よみがえった幻の音」として紹介される
1985 昭和60年 10 24 NHKテレビ・北陸東海午後7時30分より岐阜県美濃市今井邸水琴窟発見と復元の番組が放送される
1985 昭和60年 11 7 同NHKテレビ放送後、連絡のあった水琴窟情報により、東海地方で7ヶ所確認される
1985 昭和60年 12 16 NHKテレビ北陸東海午後7時30分〜8時、地域スペシャルとして同番組が全国放送される
1986 昭和61年 1 15 NHK教育テレビで午後7時30分より同番組が、地域スペシャルとして再放送される
1986 昭和61年 4 1 中野之也著「水琴窟-構造とその作り方-」発行
1987 昭和62年     品川歴史館紀要第1号に、1981年の東 京農大金井格教授の旧吉田記念館庭園内の水琴窟現況調査報告書が掲載される
1988 昭和63年 10    麗邦楽会の欧州公演に日音研中野・加藤氏参加 水琴窟コンサート公演(オランダ、東ドイツ等11カ所)  
1989 平成元年

7

  群馬県高崎市・高崎芸術短大「水琴亭」に双水琴窟完成
1989 平成元年 7   千葉県成田市・加藤邸に室内双水琴窟完成
1989 平成元年 10   「ユーロパリアジャパン'89」光人画楽に中野・松島・加藤氏参加、水琴窟サウンドを披露(ベルギー・ブラッセル市)
1989 平成元年 11   オランダ・アムステルダム市の三田工業オフイスロビーに双水琴窟完成
1990 平成2年 7   NHKテレビ「モーニングワイド」で成田・加藤邸水琴窟工事放送

1991

平成3年

3

  愛知県日本の音研究所に水琴窟完成(瓶5個)

1991

平成3年 3   上製本『幻の音風景・水琴窟』日本リゾートセンターより出版(発行人:加藤 忠/監修:中野之也)
1992 平成4年 11   名古屋市白鳥庭園に水琴窟(瓶3個)完成
1993 平成5年 9   名古屋市そばや『円珠』に水琴窟完成
1993 平成5年 10   『広辞苑』第5版に「水琴窟」掲載される
1993 平成5年 11   愛知県幸田町・岡田病院に水琴窟完成
1994 平成6年 4   東京都品川区・唯称寺に室内水琴窟完成(第1号は昭和62年)
1994 平成6年 8   伊豆・畑毛温泉角萬旅館「第1回水琴窟コンサート」
1994 平成6年 11   静岡県川根町・茶茗館庭園に水琴窟完成(2カ所)
1995 平成7年 5   愛知県幸田小学校に水琴窟完成
1996 平成8年 3   日本舞踊『名寿会』で水琴窟披露
1996 平成8年 7   環境庁『日本の音風景100選』に日音研指導の水琴窟が選定される
1996 平成8年 11   有馬温泉御所坊「偲豊庵」に水琴窟(瓶5個)完成
1997 平成9年 8   雨水利用沖縄大会で水琴窟利用プラン『玉水東屋』が入選(中野之也氏)
1997 平成9年 11   京都市・圓光寺に水琴窟完成
1998 平成10年 1   日本テレビ系「ズームイン・朝」で日本の音研究所が紹介される
1998 平成10年 3   愛知県日進市・岩崎城址公園に双水琴窟完成
1998 平成10年 6   名古屋市名東区東山ハイツマンションに天水琴(2個)完成
1999 平成11年 3   名古屋市生涯センター『水琴窟に魅せられて』中野之也氏講演
1999 平成11年 4   「東海水琴窟ネツト」設立総会(岩崎城水琴窟広場)
1999 平成11年 8   EXPO2005 国際アイデアコンペに水琴窟利用プラン『天水共創の里』佳作入賞(中野・松島・田村氏)
1999 平成11年 11   大阪市・美章園秀和庭に双水琴窟完成
2000 平成12年 5   東海水琴窟ネット第2回総会を契機に、有志により「日本水琴窟フォーラム」設立準備会スタート
2000 平成12年 7   設立準備委員会(委員長1名/委員3名)就任。設立計画、事業計画、設立趣意書等作成
2000 平成12年 9   東京・恵比寿に事務局開設。運営体制の確立。会員制度・規約等の検討
2000 平成12年 10   顧問・理事の選任、伊豆畑毛温泉「水琴窟フェア」にて会員の事前募集
2000 平成12年 12   発足記念イベント計画、会報及びホームページの企画会議
2001 平成13年 1 7 常任理事会開催
2001 平成13年 1 10 任意文化団体「日本水琴窟フォーラム」発足
2001 平成13年 1 10 発足記念イベント準備、広報活動スタート
2001 平成13年 1 13 TBSラジオ(永六輔)にて日本水琴窟フォーラム紹介される
2001 平成13年 1 22 朝日新聞(1月22日)で日本水琴窟フォーラムの発足紹介される
2001 平成13年 2 2 NHKテレビ「おはよう日本」で日本水琴窟フォーラム紹介される
2001 平成13年 2 3 日本水琴窟フォーラムの発足記念イベント開催(水琴窟コンサートと水琴窟関連資料展示/唯称寺/約200名参加)・NHKラジオ他の取材(水琴窟コンサートやフォーラムの紹介)
2001 平成13年 3   東京・杉並区にて水琴窟会合
2001 平成13年 3   フォーラム製作によって東京都品川区T邸に水琴窟完成
2001 平成13年 4   日本水琴窟フォーラム会報・創刊号発行
2001 平成13年 4   愛知県日進市浅岡邸に水琴窟完成
2001 平成13年 4 28 理事会・NPO法人設立準備会
2001 平成13年 5   特定非営利活動法人日本NPOセンターに入会
2001 平成13年 5  

http://www.suikinkutsu.com 開設
E-mail:info@suikinkutsu.com 開設

2001 平成13年 5   三重県名張市吉住邸に江戸後期の水琴窟が復元される
2001 平成13年 5 21 NHKFMで日本水琴窟フォーラム紹介される(21・28日)
2001 平成13年 6 6 J−WAVEで日本水琴窟フォーラム紹介される
2001 平成13年 6 9 日本水琴窟フォーラム第一回総会・NPO設立総会(伊豆畑毛温泉)・水琴窟コンサート開催される(水琴窟の里づくり実行委員会/角萬旅館にて)
2001 平成13年 6 16 芝浦工業大学「イノベーション・シンポジウム」後援/水琴窟と尺八演奏
2001 平成13年 6 26 「耳を澄ます・心を澄ます」セミナー後援
2001 平成13年 7   桐生市に小島一夫氏が移動式水琴窟を寄贈(上毛新聞・読売新聞)
2001 平成13年 7   千葉県佐倉市木村邸につくばい水琴窟製作協力
2001 平成13年 8   向陽スポーツ文化クラブの万葉植物同好会が「象鼻盃と水琴窟を楽しむ集い」を開催
2001 平成13年 8   日本水琴窟フォーラム会報Vol.2発行
2001 平成13年 9   日本水琴窟フォーラムが水琴窟オリジナルCDを制作・発表
2001 平成13年 10 8 岐阜新聞で日本水琴窟フォーラム紹介される
2001 平成13年 10 8 東京都世田谷区「キャロットタワー」のアートイベントで可動型水琴窟の展示(多摩美大堀内助教授)
2001 平成13年 10 8 三重県文化振興基金活用事業「音戯まつり」を共催
2001 平成13年 11 11 三重県名張市吉住邸で「聞香」の集いに水琴窟コンサート
2001 平成13年 11 5 都庁に特定非営利活動法人日本水琴窟フォーラムの申請書提出
2001 平成13年 11   日本水琴窟フォーラム会報Vol.3発行
2001 平成13年 12 15 2001ボランティア国際年みえ協賛事業・「水琴窟に聴く」協力
2001 平成13年 12   名古屋市深田邸の水琴窟を修復
2002 平成14年 1   日本水琴窟フォーラム会報Vol.4発行
2002 平成14年 2   JR三島駅南口広場に水琴窟が設置される(三島市・街中がせせらぎ事業/田村光氏)
2002 平成14年 2 28 特定非営利活動法人日本水琴窟フォーラムとして東京都知事の認証をうける
2002 平成14年 3 18 特定非営利活動法人日本水琴窟フォーラム法人登記
2002 平成14年 3   保健同人社発行「笑顔」に水琴窟CD紹介される
2002 平成14年 3   副読本「音楽の基本ワーク」(新学社刊)に“水琴窟に耳を傾ける”の写真資料掲載される
2002 平成14年 3 27 東海大学春季応用物理学会にて「水琴窟の音」の研究発表(渡部由雄教授・田村光氏・学生等)
2002 平成14年 4 16 フォーラム(田村・黒島・新作氏)により沖縄県石垣市八重山本願寺布教所に県内初の水琴窟が設置される(八重山毎日新聞等4紙とケーブルテレビで紹介される)
2002 平成14年 4 17 同竹富町小浜島の大典寺小浜布教所にも水琴窟が設置される
2002 平成14年 4 18 石垣島竜宮城鍾乳洞内の水琴窟指導
2002 平成14年 4 27 名古屋市深田邸にて「喜寿水琴窟復元記念茶会」開催・水琴窟コンサート同時開催(中野之也氏、フラメイ・アレックス氏他)
2002 平成14年 4 30  「愛知緑化フェア」参加(名古屋市大高公園/中野・鈴木両氏)
2002 平成14年 4    「かんろかんり」第8〜10号にて水琴窟探訪記事連載(中野之也氏)
2002 平成14年 5 7 NHKテレビひるどき日本列島生中継で、栃木の秋間邸の水琴窟・同氏製作による水琴窟等が紹介される
2002 平成14年 5 18 理事会開催(フォーラム事務局にて)
2002 平成14年 5 23 日本サウンドスケープ協会シンポジウム展示に出展(横浜市大倉山記念館)23〜26日
2002 平成14年 6 29 美濃市今井邸見学会・特定非営利活動法人日本水琴窟フォーラム2002年度通常総会開催(岐阜県美濃市善応寺にて)
2002 平成14年 6 29 善応寺ONEコインコンサート協賛・胡弓と水琴窟コンサート(28日朝日新聞に紹介される)
2002 平成14年 6 30 美濃市教育委員会庭園(旧道路公団)水琴窟の掃除・調査
水琴窟の再発見、復元、普及の経過

Copyright (C) Japan Suikinkutsu Forum. All Rights Reserved.