日本水琴窟フォーラム会報


 

 新機関誌 水琴窟

 ●水琴窟 第2号 2008年6月

 ●水琴窟 創刊号 2007年6月

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 日本水琴窟フォーラム会報

 ◆Vol.14 2005年 7月
 ◆Vol.13 2005年 2月
 ◆Vol.12 2004年12月
 ◆Vol.11 2004年 8月
 ◆Vol.10 2004年 4月

 既刊転載
 ◆Vol.9 2003年12月
 ◆Vol.8 2003年 9月

 ◆Vol.7 2003年 5月
 ◆Vol.6 2003年 1月
 ◆Vol.5 2002年 9月
 ◆Vol.4 2002年 1月
 ◆Vol.3 2001年11月
 ◆Vol.2 2001年 8月
 ◆Vol.1 2001年 4月 
 

 


2008(平成20)年6月7日発行

機関誌第2号
 

    機関誌 水琴窟 第2号 表紙

 

2007(平成19)年6月23日発行

新機関誌創刊号


 
 

新機関誌 水琴窟 創刊号 表紙

 

 

新機関誌 水琴窟 創刊号 目次

 

 


日本水琴窟フォーラム会報創刊号 2001年4月

※会報の画像等は省略してあります


JAPAN SUIKINKUTSU FORUM
日本水琴窟フォーラム会報
Vol.1 創刊号 2001年4月
発行:日本水琴窟フォーラム 事務局

1頁

■日本水琴窟フォーラム発足にあたり
日本水琴窟フォーラム 代表
中野之也(なかのゆきや・日本の音研究所 主宰)
「日本の音」を訪ね歩く中での「水琴窟」との出会いは10数年前となりますが、幸運にも多くの出逢いに恵まれ、全国各地に多くの仲間ができました。そして、平成10年4月に「東海水琴窟ネット」の活動を開始し、平成12年の春に第2回総会を伊豆で開催、ご縁あって伊豆畑毛温泉「水琴窟の里」に協力させていただく事となり、日本全国の水琴窟グループと更なる連携を進める契機となりました。
この時から「日本水琴窟フォーラム」設立の準備会がスタートし、事務局設立などの準備活動を経て2月3日には発足記念イベントを東京の唯称寺で開催するに至りました。そして、多くの方々に参加していただき、水琴窟と尺八のコンサートや遊び心に満ちた創作水琴窟、南極の氷やオホーツク海の流氷が奏でる水琴窟の音色などを共に楽しみ交流できたことを、とてもうれしく思います。
日本水琴窟フォーラムは、今後全国各地の仲間たちと連携し、さまざまな活動を通じて水琴窟に親しみ、日本の音文化である「水琴窟」とその魅力を21世紀に、そして国内外に伝えてゆきたいと考えています。フォーラム会員の皆さまには、会へのご参加ご協力に深く感謝すると共に、末長いおつき合いをよろしくお願いいたします。

■日本水琴窟フォーラム 顧問
龍居竹之介(たついたけのすけ・龍居庭園研究所所長)

水琴窟は庭における「遊びの世界」のものと言えます。もともとは、蹲踞の手水鉢の下に設けられた排水のための仕掛けだったようですが、江戸時代にいつしか、水落ちの時に発する音を楽しむ風習が生まれたようです。そしてこうした排水と音を楽しむ事を兼ね備えたものが、いつか水琴窟と呼ばれ出したのです。
造園学がご専門の東京農大の平山勝藏先生は早くより各地に残る水琴窟を研究されていましたが、日本の庭園、特に江戸時代の庭には「遊び」の試みが多く見られ、水琴窟もゆったりとした水滴音を楽しむという点で日本人の遊び心が感じられるものの一つと言えます。
水琴窟は、蹲踞手水鉢や縁先手水鉢の足元に設けられる事が多いわけですが、茶道の世界では、露地は心身を清めるところとして、音の出る水琴窟の蹲踞は作られなかった事もあったようです。
しかし、江戸時代からの「音」を通じ国内や海外と文化交流をするというフォーラムの新たな試みに、水琴窟が役割を担うことは素晴らしい事と思います。お寺での発足記念コンサートという印象的なスタートとなった日本水琴窟フォーラムの今後の活動に期待します。
(発足記念のご挨拶より抜粋要約)

■設立趣旨
江戸時代に考案されたと伝わる水琴窟は、1983年の朝日新聞「天声人語」を初めに、NHK等のマスメディアで広く紹介された事を契機に、全国各地で発見や保存・研究活動、さらに様々な環境での設置・利用が多くの人々の手によりなされ、200余年の時を経て現代に甦りました。
1991年当時、北海道から九州まで全国で200基余りその存在が確認された水琴窟(日本リゾートセンター刊:「幻の音風景・水琴窟」関連調査、中野之也監修)も、今日ではおそらく1000基以上に及んでいると思われますが、残念ながら資料データも分散的でその全容は明らかではありません。
現在国内では、北海道・関東・東海・近畿・関西・中国・九州など各地域で水琴窟を核にした地域ネットワークが存在もしくは形成されつつあり、諸活動が活発に行なわれています。その活動も、水琴窟の愛好家を中心としたものから、庭園研究家・日本文化研究者・造園家から寺院関係者・環境デザイナー・音楽家・陶芸家・教育者・都市プランナー・建築家、更には、音響研究家・地域活動家・イベント企画者と、ここ10数年間でその内容は多様化し、全国の活動状況や水琴窟普及の実態を把握することが次第に困難となってきています。
また、高度化・国際化した社会にあって、水琴窟は日本人の心に響く伝統的な音文化として益々その価値が重視される事に加え、前述の諸活動の拡がりからうかがえる様な、現代社会が抱える精神的、環境的、教育的課題への示唆に満ちた“装置(新たな時と場の創出)”としての役割も拡大し、国内に於ける交流は元より海外との交流も含め、21世紀を迎えた今、水琴窟はグローバルで多面的な展開を見せ始めています。
以上のような水琴窟普及の経緯と社会背景を踏まえ、21世紀における水琴窟の普及
活動と地域ネットワークの更なる活性化を推進し、有意義な文化的提案を行なうには、「全国規模で水琴窟関連の情報・データを集積し総合的に受発信する情報センター的役割りと、国内外の文化的交流や新たな活動を推進・支援する交流センター的役割りを担う文化団体が不可欠」と考え、21世紀元年でもある本年1月に全国各地の仲間と共に「日本水琴窟フォーラム」を設立いたしました。
これを機に日本水琴窟フォーラムは、全国各地域の愛好家や水琴窟関連組織・研究家・専門家・各界有識者と連携し相互協力の基で、日本を代表する【水琴窟の情報・研究・交流拠点】となる事を目指します。


2頁

■東京の唯称寺で発足記念イベントを開催。
約200名の水琴窟ファンが各地より集い、
コンサートや資料展示、交流を楽しみました。

会場となった武蔵小山の唯称寺には、北は北海道から南は沖縄まで全国各地から参加された会員の方々をはじめ、新聞誌上でコンサートの事を知った東京23区の水琴窟ファンの方々が多数参加し、コンサート会場や展示会場は熱気に包まれました。
東京では珍しい水琴窟イベントという事もあり、「自宅に水琴窟があります!」とのご連絡や、「水琴窟のある場所を知っています!」、「以前から興味があり是非参加したい」、「新聞で知り大変興味を持ちました」などうれしい電話やファックスが殺到し、思いがけず水琴窟ファンが東京周辺にも多いことを知らされました。また、当日はNHKラジオやTBSラジオなどの取材も入り、後日放送され反響を呼びました。(P10参照)

【交流】
懇親会で紹介された水琴窟の拡がり水琴窟に魅了された全国各地の人が懇親会で集い、交流を行ないました。様々なかたちの活動も紹介され、水琴窟が持つ魅力の奥行きと幅を改めて実感するひとときでした。

【コンサート】
「水琴窟と尺八の音風景」
水琴窟師の田村ひかる氏がステージで移動式水琴窟の水を操り、尺八奏者の宮崎青畝氏がその水滴音とコラボレーションするという、東京では初めてのコンサートに多数の来場者が集まりました。心の奥深くに響く宮崎氏の演奏と、田村氏自身が開発した移動式水琴窟の神秘的な響きが共鳴する、魅力的なステージでした。


3頁

【展示】
色々な夢や想いが詰まった
水琴窟の展示
今回の資料展示は、伊豆畑毛温泉の水琴窟資料館より運ばれた展示物や各地の協力者により持ち寄られた展示物を中心に構成されました。水琴窟用の瓶、各地で創作された室内型水琴窟、小学校やお寺や病院から旅館や公園、地域観光まで、いろんな人が様々な想いで水琴窟と関わるその様子が伝わってくるような資料など、楽しい展示でした。
皆様、ご協力ありがとうございました。

[発足に寄せて]
今度、設立趣意書に賛同させていただきます。日本の伝統文化を伝承してきました水琴窟が、今ここにはっきりと、さらに前進していく歩みは本当に喜ばしいことです。日本全国にある水琴窟が再び蘇ることは本当にすばらしいことです。今日、自然環境が汚染され破壊されつづけています。21世紀は自然を守りその為には私達が自然を慈しむ心が育まれなければなりません。人間と自然とが真の意味で調和していくことが大切なことであり、そういう心を見い出していくことが日本水琴窟フォーラムの願いであると思います。今後とも、事務局の御活躍を念じ申し上げます。
三重県鈴鹿市・安養寺 木聖 豊 様

■コンサートの感想が届きました
(アンケートより転載)

・朝日新聞で知り、心弾ませて伺いました。至福の刻でした。有難うございました。一人でも多くの人に聞かせてあげたいと思いました。こう云うことが普及してこそ平和だと――。
・自然の音に耳を傾けることの大切さを再認識した大切な一日でした。パフォーマンスとしては日本の音が響き合うオーケストラのようなドラマが創れたらおもしろいと思います。
・水琴窟の音だけをじっくりと聴く時間があってもよかった。でも、水琴窟の存在を身近に感じました。ありがとうございました。
・同好の士が多く、おどろき嬉しく思った。自分でも創りたいので、その折はお知恵を拝借できれば幸いです。


4頁

■全国に拡がる水琴窟と音文化=全国活動レポート2000

北海道(帯広市)
壷中琴の幻想的な音色を楽しむコンサートを開催、
収録CDも発売される。

地中に埋めた壷に水滴を落として響音を楽しむ水琴窟、その音を室内でも楽しめないかと考えて作られたのが、「壷中琴(こちゅうきん)」である。半年間雪と氷に閉ざされる冬の長い北海道で、その音色をいつでも楽しめるようにと創作された。帯広にある十勝窯を主宰する陶芸家の北川祥山氏の手により誕生した「壷中琴」は、その壷のデザインの現代的な美しさや、水琴窟を日本庭園から開放して自由な空間に飛躍させたとして、当フォーラムの中野之也代表をはじめ、多くの水琴窟愛好家も賞賛を寄せている。
昨年(2000年)6月28日には、帯広市内の本願寺帯広別院・西別院本堂で、日本古来の音色を楽しむコンサート「新緑の誘い――聲明が壷中琴の響きの中で」が北川祥山氏らにより開催された。僧侶が唱える聲明(しょうみょう)と雅楽、花のデザインをあしらった4つの壷中琴に落とされる水滴の音が響きわたり、観客は大いに魅了された。その模様を収録したCD「新緑の誘い」も昨年夏に発売され、癒しの音楽として注目された。

「水琴窟(壷中琴)北海道フォーラム」に約100人が参加。
また、8月25日には「水琴窟(壷中琴)北海道フォーラム」が、十勝川温泉第一ホテルで開催された。中野代表らが講師を務め「水琴窟の音は、雨だれの音など失われつつある日本の“音風景”を思わせる。日本の音文化として世界に発信していきたい」と述べた。その後、壷中琴とオカリナなどによるミニ・コンサートも開かれ、約100人の参加者は壷中琴の音色を楽しみながら、その魅力について語りあった。


5頁

●栃木
「蔵の街栃木・水琴窟めぐり」と題した市内マップが完成。

市内に多い水琴窟の所在地を地図にして散策に役立てようと、市民団体と水琴窟研究家の秋間邦雄氏らが協力して、昨年(2000年)4月にマップを作成、配付を始めた。
この15年ほどの間に秋間さんの指導で神社や寺院、商家などに新設、再現された水琴窟11カ所が記載されている。心を癒す優しい音に近年人気が出て、観光客が増えたため作成を思い立った。喧噪を離れて音の聴き比べを楽しんで!との呼びかけに、全国から水琴窟ファンが訪れている。

水琴窟の音色は胎教にもいい!
水琴窟の音色にひかれ独自の工夫で研究を進める秋間氏は、水琴窟めぐりのマップ作成に先立ち1998年5月には「サウンドスケープ(音の風景)」と題するマタニティコンサートも開催している。胎児が音楽を聞き分けられることは、英キール大学の研究などでも判明している。以前水琴窟をつくった縁もあり、また幼児教育に関心を持つ黒川住職の協力で成田山長清寺(栃木みどり幼稚園)で開かれたコンサートでは、演奏の前に前獨協医科大学の教授を務めた、日野原正医師の胎教に関する講話もあった。妊婦約120人が参加し、琵琶と尺八を絡め境内の滝の音色と景観も取り込んだユニークなコンサートで、水琴窟の音色を楽しんだ。

●東京
稲田助産院の水琴窟

2000年8月16日、今日は水琴窟づくり初体験の日! 喜び勇んで現場に向かった。稲田助産院の藤井先生のご主人の藤井康雄さんもすでに姿を現していらした。田村造園の田村光さんたち3人のあ・うんの呼吸のチームワークは、隙あらば手伝おうと待ち構えていた私たちを釘づけにしてしまった。午後から藤井先生も加わり、手は出さなくても固唾を呑んで見守っている私たちも共同して創りだしていることを発見した。
刻々と変化する自然の、一瞬一瞬の輝きがまさに、人を媒介にして瓶の中の宇宙へと再現されたかのようだった。何の方向づけも何の意図も持たない生命そのものが奏でる響きは、明るく透明で美しかった。
半年経った水琴窟は今、藤井先生ご夫妻の温かさに見守られ、疲れた人の心を癒す、地域の中心的存在になりつつある。 (飛島)

STP―根元からの創造力―
2000年11月18日、唯称寺において、ドイツの画家で、哲学者のカール・レオンハルツベルガー博士による、水琴窟と色彩をもちいてのアートセミナーが行われました。北海道から沖縄まで全国から定員一杯の15名が参加しました。水滴の奏でる音色と色彩と、カール博士の天空のような寛さに導かれて、一人一人に内在している根元的な力を活性化させ、自身の生命の核に出会う試みをしました。ご自分でも気が付かなかった可能性を発見し、各々の道を開いていらした方が大勢いました。
カール博士はこの3月に来日し、絵画を用いてのセミナーや講演、創作活動をなさる予定です。また、フォーラムでは「ドイツに水琴窟を創る会」を発足させる予定にしています。


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●伊豆(畑毛温泉)
「水琴窟の里」づくり

1999年12月31日よりチェンジーズ伊豆2000が伊豆各地を中心に開幕いたしました。21世紀の伊豆づくりをテーマに様々なイベントが伊豆の各地で行われました。水琴窟フェアもこの一環で行われたイベントでありました。
伊豆畑毛温泉は環境庁より指定を受けた東海道唯一の国民保養温泉であり、血行促進・疲労回復・治癒の効果は日本一とも評価されています。そうした中で水琴窟の音色をどの旅館、ホテルでも聞く事ができる、これが私達の企画でもありました。体も、心もリフレッシュできる旅館をテーマにこの伊豆畑毛温泉を『水琴窟の里』として全国でも知れわたる地域にできればと考えたのです。
しかし、この伊豆畑毛温泉に水琴窟があるのは、角萬旅館さんだけであり、11の旅館には水琴窟がありません。
そこで造園家である田村氏にお願いをし、仮設式水琴窟をお借りする事ができ、すべての旅館に仮設式水琴窟が揃う事になり、2000年10月に1ヶ月間水琴窟フェアを開催いたしました。各旅館での水琴窟ミニコンサート、水琴窟の音色を楽しんでいただく露天風呂、全国から集められたオリジナル水琴窟の展示された資料館、田村氏による水琴窟体験教室、水琴窟スタンプラリー等、様々なイベントを行いました。今後この伊豆畑毛温泉を10年かけて『水琴窟の里』として全国的に認知されるよう私達は引き続き活動を行いたいと考えており、中野之也先生をはじめ、日本水琴窟フォーラムと全国各地で水琴窟の普及に努力されている方々のお力添えをお願いしたいと思います。

「水琴東屋」が完成!
伊豆畑毛温泉の角萬旅館さんに去年2基目の「水琴東屋」が完成いたしました。過去角萬庭園では、4回の水琴窟コンサートを行っており、水琴窟の音を拡声してのコンサートは他ではあまり聞く事がありません。
尺八奏者である宮崎青畝氏は、水琴窟の音は無限の響きがあり、自然の奏でる音に、演奏家がどこまで融合できるかを実践している数少ない演奏家だと思います。又水琴窟がない場所でもコンサートが可能になったのも田村氏が考案した「移動型水琴窟 スペースサウンド」を開発してからの事です。
コンサート会場では観客から、音は出ているのですがほんとうに水琴窟から出ている音なのかが分からない事が多く、その為に実際に水の流れを止めたり、多く流したりする人を舞台に上げ、演奏家と一緒にプレーする『水琴窟師』を田村さんにお願いいたしました。
水琴窟師を入れる事によって、観客は瓶の響き・水琴窟の音を確認できるようになり水琴窟コンサートそのものが充実してきました。
今後も、水琴窟の音を使っての、やすらぎと心地よい空間を提供してゆきたいと考えています。
有限会社 ランワールド
代表取締役 今井 和男

「玉水四阿(たまみじあずまや)」から
水琴東屋「蓮水亭」へ

中野之也氏は1997年の「雨水フェアin沖縄」において、21世紀に送る雨水利用のメッセージとして、水琴窟と雨水利用システムを一体化した斬新なプラン「玉水四阿(たまみじあずまや)」を提案し、優秀賞を受賞しました。沖縄に昔からあり今も残る瓶を利用した雨水利用と日本古来の東屋、そして水琴窟を一体化した設計案で、先人達の残した知恵や文化的遺産が雨水利用を通じ現代に蘇るというもの。この提案は残念ながら沖縄では実現する機会に恵まれませんでしたが、3年後の2000年、伊豆畑毛温泉の角萬旅館に水琴東屋「蓮水亭」として誕生し、庭園に美しい音色を響かせています。


7頁

●東海
水琴窟の視点を活かし国際アイデアコンペで入賞

「森の博覧会」をテーマに里山の自然を活かすイベント企画や施設構想を募集した国際アイデアコンペ(EXPO2005国際博覧会協会主催/1999年11月)で、東海水琴窟ネットの作品が佳作に入賞しました。
同コンペは計画中の愛知万博に反映させようと企画されたもので、入賞作品は22点。応募総数は海外32カ国からの82点を含めて計約2000点に及びました。
作品は、水琴窟の原理と雨水利用やサウンドスケープの視点を活かした自然循環型の施設構想「天水共創の里」というもので、日本の音研究所の中野之也氏と造園家の田村光氏、アートディレクターの松島新氏3人の合作。「機会があれば、是非実現したい楽しい企画」とのコメントでした。

●三重県(四日市/鈴鹿市)
地域に密着した社会活動で水琴窟も一役を担う

「耳を澄ます、心を澄ます」
「水琴窟」─名前だけは、どこかで聞いたことがありました。実際にどんなものか見てみたいという好奇心と取材を兼ねて、四日市市の幼稚園に足を運んで4年の月日が流れました。
注意深く耳を澄まさないと聞こえないような、かすかな水滴の音。聞き逃してしまいそうな一瞬の音。しかし、そんな小さな世界のなかに、無限の広がりと大きな宇宙の可能性を感じました。
人それぞれ、様々な悩みや課題に向き合っています。その大きさは様々ですが、考えることに疲れてしまったとき、自然の生み出す音は、かすかなものさえ、何か別の視点から、優しくヒントをくれるような気がします。
だからといって、何かを無理に理解しようとして音を聴く必要はないと思います。ただ、心を澄まして、音を聴くだけ、それでいいのだと思います。
西村さんたちが始めた取り組みが、これだけ大きな輪になったということは、音から得られる「何か」を求める人がそれだけ多いことの表れなのだと思います。それらの現象を社会的な背景と結びついて分析することも出来ますが、「何か」を求めて人が集まる、そこから何かが生まれる、そのこと自体が素晴らしいことだと思います。
そこから、子供たちの教育や人間関係など「人がどう生きるか」を見直すきっかけになれば、ますます素晴らしいことだと思います。
山本潤子(朝日新聞記者)

安養寺の子供会(鈴鹿市)
水琴窟は今日で3回目だけど、何回聞いてもすごくきれいです。すごくすずしげで何度聞いてもあきないぐらいきれいで、また聞きたいです。こんど安養寺に来る時はもっと友達をつれてきて、みんなで聞きたいです。私は本当に水琴窟にであえてよかったです。
杉本瑞穂ちゃん(小6)


8頁

●京都
日本水琴窟フォーラムの発展と楽しい企画に期待します。

私達京都水琴窟ネットは、設立以来さまざまな形で水琴窟を取り上げ、文化交流をしてきました。水琴窟の音を聞いて幸せそうな顔をする人、深刻な顔をして哲学を語る人、さまざまなタイプの方々が、会員としてまた一傍観者として私たちの会を訪れました。
昨年は、病院、マンション、寺院に水琴窟を作成させていただき、一般の人が鑑賞できる場所を提供できるようになりました。それぞれの場所で、またひとつ幸せそうな顔が見られることを楽しみにしています。
また、京都では有名寺院が水琴窟の公開を行っており、その美しい庭園を使ったイベントなども行いました。中でも11月に行いました「水琴窟ヒーリングコンサートin Kyoto」は、大原の宝泉院で開催中の幻想空間ライトアップの模様を衛星中継で京都駅ビル内の会場に生中継し、水琴窟の音が四方から聞こえる中、イタリアからかけつけてくれた世界的ピアニストのカラムタ氏が即興演奏を交え、水琴窟と幻想空間とのコラボレーションを表現するという内容でした。宝泉院の音風景も再現し、水琴窟の瓶の中に入ったような不思議な感覚の中、カラムタ氏の見事なピアノ演奏に、私たちは至福のひと時を体験しました。東西の文化交流が出来、今後さまざまな発展形が予想されます。(情報は、ホームページ/suikinkutsu.netをご覧下さい)
私たちは、水琴窟を音楽として、心を癒す音として、世界に誇る文化として様々な形で取り上げ、表現して、皆で楽しんでいきたいと願っております。日本水琴窟フォーラム開設にあたって、会の発展と楽しい企画を期待して、京都水琴窟ネットのご報告を兼ねましてご挨拶させていただきました。皆様のご健勝をお祈り申しあげます。
京都水琴窟ネット 会長 大橋智夫

●大阪
The Space of Mental Sheen─しずくの世界

「水地比(すいちひ)」というブランドで関西のみならず、関東でも活発な展示活動を続ける作家・尾崎水耶さんは、花器にも利用できる美しい室内用水琴窟「水咲(すいしょう)」という作品で独自の精神世界を表現しています。2月の発足記念コンサートにも参加くださり、創作水琴窟の展示コーナーに“華”をそえていただきました。
私は水というエレメントを通して、雨のしずくの現実形態のように創造行為することで、「零」そして飛翔を希求し、The Space of Mental Sheen─しずくの世界 をテーマとして掲げています。
「水琴窟」はその中で創作発想の起点となり、室内用水琴窟として誕生させた『水咲』ももう数えれば10歳になります。様々な思いを注いで育て上げた子供『水咲』は、水落としからにじみだすしずく、それを受け止める水盤の水、落下水滴音を孕む壷中、その全体を存在させる現実空間そして音の飛翔してゆく非視覚空間と、次元を自在にゆききする実在であり、もうこの手を離れ独自の世界を歩み始めています。
精神の輝く空間─しずくの世界へと導かれる人の幸いを、多くの方とわかちあってゆきたいと開催してきたのが「水咲茶坐」ですが、今後はさらに『水咲』から享受する精神の解放「零」を具現化してゆきたいと考えています。
「水地比」主宰
プロジェクト・アーティスト
尾崎水耶


9頁

●九州(長崎市)
長崎純心大学短期大学部の水琴窟について

水琴窟の音色を楽しむには、何より静けさが、必要です。幸いなことに、その静けさが本学 三ツ山キャンパスにはまだ残されています。
鳥のさえずり、風のざわめき、学生たちの賑やかな話し声、様々な自然と人間の調和のとれた音が、このキャンパスには残されているのです。
この静寂な、そして調和のとれた音環境を利用し、平成7年度から平成10年度にかけ本学保育科では「音の創作文化」という授業を立ち上げ、学生たちと一緒に「水琴窟」を制作することを行いました。
人間の感性と創造性が、最大限に発揮される幼児期の教育に、携わろうとする学生自身の感性が、少しでも拓かれることを願って、開講された授業でもありました。
そして、静かな環境で水滴の音が聴けるようにと、場所の選定から行うこととなったのです。
山を崩し土地をならし、草を刈り、木を切り、穴を堀り、排水装置を造りました。そして水瓶を埋め、栗石を入れ、セメントで石を固めるなど、これまで体験することのない労作業を、はじめて経験することとなりました。
また、作業を進めながら、日頃触れることのない蝉の幼虫やナナフシなど、山でしか見られない生き物と出会い、自然の豊かさ、自然の不思議さを、同時にからだで感じ取っていくことにも繋がりました。
現在は、卒業研究を通して、水琴窟の制作を行い、併せてその周辺の整備と遊歩道の製作も行われています。
(保育科)

●沖縄(石垣島・竹富島)
石垣・竹富に水琴窟計画浮上
日本の最南端の島々に水琴窟設置の計画が浮上している。沖縄県の石垣島と竹富島の島内中心部に計画が進行している。石垣島では石垣市内の字登野城に所在する「八重山本願寺」の境内に、そして竹富島の竹富町には島の中央部に位置する竹富島「喜宝院蒐集館」にそれぞれ水琴窟が設置される予定である。一方平成13年度前期4月2日より放映されるNHK朝の連続テレビ小説「ちゅらさん」の最初のロケーション地として登場する竹富町小浜島の島内高台にある小浜島「大典寺」も現在検討しているところである。
コバルトブルーの空、エメラルドの海、真昼のような美しい月夜。亜熱帯海洋性気候の島々が点在するここは、日本列島最南端の八重山諸島である。北緯24度、東経124度、東京から石垣島までの距離は2252キロ、19の島々から成り、海は東支那海に位置し、年平均気温は24度、冬から春に雨が多く年平均湿度は78%で温暖多湿、年平均月間降雨量は203ミリ、夏から秋にかけて台風が来る地方である。雨は亜熱帯性と熱帯性さらに海洋性気候を併せ持った大粒の雨が降る。風の音より雨による水音の方が耳によく衡くところである。日本列島最南端の島々に、美しく鳴り響き渡る水琴窟の設置計画浮上に期待が寄せられている。(黒島)


10頁

■Topics & News

▼水琴窟関連書籍のご紹介
水琴窟の集大成「幻の音風景 水琴窟」は、美しいカラー写真満載の珠玉の一冊
江戸時代中期に創案されたと伝えられる“幻の水琴窟”を日本の貴重な文化遺産として捉え、その実態や文化性、歴史的背景など様々な角度からその真価に迫り、水琴窟の集大成を目指し平成3年に日本リゾートセンターより発刊された「幻の音風景 水琴窟」は、現在もなお水琴窟を詳述した書籍としては他に例をみないものです。
全国の様々な水琴窟(音風景)を臨場感あふれる数多くの写真で紹介することをはじめ、作家、音楽家、庭園研究家等、各方面の方々がそれぞれの立場から水琴窟を考察した文章や、そのルーツを探る座談会、全国の水琴窟分布地図、制作年代・型式等も網羅した所在一覧表等、内容、資料性ともに優れたものです。
加えて、本書にはその音色を収録したCDも収蔵されています。水琴窟はもとより、清楚に生きつづけた水と音との日本の文化をご紹介する貴重な一冊としてお薦めします。
★ 会員特別価格 19,500円/一般価格 25,000円(共に税込み・送料別途)
★ お申し込みは、日本水琴窟フォーラム事務局まで TEL・FAX 03-3461-1219

▼水琴窟の構造から造り方までを詳述した
貴重な解説書、「水琴窟の話」

当フォーラムの顧問にもなっていただいている龍居庭園研究所の龍居先生が、専門家の立場から水琴窟の構造や造り方を解説したお勧めの一冊。建築資料研究社から発刊されているガーデンライブラリーシリーズで、美しくも情緒豊かな音色を奏でる「水琴窟」の仕掛けが、写真をまじえ分かりやすく解説されています。
★ お求めは書店にて(ISBN4-87460-256-8? C2061 2330)

■マスコミに紹介されました
2001年1月20日(土)【TBSラジオ】『土曜ワイドラジオTOKYO〜永六輔その新世界〜』11:30〜11:50の20分間「山中伊知郎〜クイズTOKYO〜」※ザ・プロフェッショナルのコーナー/日本水琴窟フォーラム代表・中野之也氏の紹介及び、スタジオの永六輔氏とを結んでの対談。唯称寺から生中継されました。
1月22日(月)【朝日新聞】日本水琴窟フォーラムの発足と記念コンサート予告に関し紙面で大きく報じられました。/事務局松島氏のインタビュー。
●2月2日(金)【NHKテレビ】『おはよう日本』7:55〜7:58の3分間/唯称寺からの生中継〜蹲水琴窟や室内水琴窟をはじめ、移動式の創作水琴窟等の紹介および中野之也氏のインタビュー。
2月8日(木)【NHKラジオ第一】『ラジオ夕刊』18:00〜15:50の中の8分間/発足記念コンサートの録音の一部と尺八奏者の宮崎青畝氏のインタビュー。
2月14日(水)【TBSラジオ】系全国32局ネット『荒川強啓デイ・キャッチ』の中の「噂の調査隊」17:15〜の8分間/主に移動式の水琴窟の紹介と中野之也氏のインタビュー。(発足記念コンサート時に唯称寺にて録音)
マンガ「波紋」
作者プロフィール
小林 正美 (こばやし・まさよし)

1951年福島県生まれ。東京都杉並区在住。
19歳の時に「少年ジャンプ」でデビュー後、様々なジャンルのマンガを描き現在に至る。自然観察4コマ漫画を収録した新刊書籍「観察力」は、そのユニークな視点で昨年朝日新聞に紹介された。現在、「小説宝石」に連載中。


11頁

■日本水琴窟フォーラムの概要
【事業理念】

日本水琴窟フォーラムは、全国規模の新たな情報ネットワーク構築を通じて日本の伝統文化である「水琴窟」の普及活動と関連情報の蓄積および水琴窟の総合的研究に資すると共に、水琴窟の魅力とその文化的価値を広く国内外に紹介し、21世紀社会の新たな「価値創造」に寄与する。
【事業概要】
1. 水琴窟に関連する各種情報(記録・文献・音響・映像・画像・データ・研究資料・報道資料等)の保存・集積化及びその整理・編集・加工。
2. 全国各地域の水琴窟関連組織や愛好家、研究家等との連携及び協力体制を基にした、情報ネットワークの構築。
3. 全国各地域の水琴窟関連組織や愛好家、研究家、企画者等への、情報提供を中心とした諸活動。
4. 水琴窟関連の情報を総合的に紹介する、会員情報誌の発行(季刊)並びに、ニュースレター(FAX通信)の配布。
5. ホームページ「suikinkutsu.com」の開設と運営。
6. 水琴窟及び水琴窟に関連・付随する文化的交流の推進と支援。
7. 国内及び海外に於ける水琴窟普及のための情報・人・技術的交流の推進。
8. 水琴窟関連の研究セミナー、イベント、出版等の文化事業の推進と支援。
9. 水琴窟及び水琴窟に付随する文化活動の広報・宣伝の推進と支援。
10. 水琴窟及び水琴窟に付随する文化・技術の、分野を超えた研究と企画提案。
11. 水琴窟の保存・新設に関わる企画計画および製作指導。
12. 水琴窟に関連する各種相談・質問の受付け。
【顧問
金井 格 (東京農業大学名誉教授)
龍居竹之介(社団法人日本庭園協会副会長/龍居庭園研究所所長)
辰濃 和男(雨水利用を進める全国市民の会会長)
【代表】
中野 之也(日本の音研究所/東海水琴窟ネット代表)
【役員
秋間 邦雄(郷土史家/水琴窟研究家)
加藤 忠 (「幻の音風景 水琴窟」発行人)
岸塚 正昭(東京農業大学地域環境科学部助教授)
黒島 健 (社団法人日本作曲家協会会員)
田村 光 (水琴窟師)
飛島加代子(環境デザイナー)
新作 博明(唯称寺)
長谷川 忍(伊豆畑毛温泉「角萬」旅館)
藤井 静 (朝日新聞社社友)
松島 新 (アートディレクター)
(アイウエオ順)


12

協賛広告募集中
水琴窟に関連のある企業や団体の広告を募集しています。広告掲載費はフォーラムの活動費として活用させていただきますので、ご協力をお願いいたします。広告スペースと掲載料は、1マス=天地5センチ×左右10センチ\15,000/2マス=天地10センチ×左右10センチ\30,000です。詳しくは下記事務局までお問い合わせください。
会員募集中
日本水琴窟フォーラムは、全国の水琴窟ファンおよび水琴窟関連の文化活動や研究、事業などに携わる方(個人/企業)を対象に、会員募集をしています。お申し込みは、氏名・住所・電話・FAX等をご記入の上、下記事務局までFAXください。折り返しご連絡をさし上げます。
お問い合わせ
水琴窟設置の指導や工事のご相談、及び水琴窟関連製品(作品)のお求めは事務局まで直接お問い合わせください。
編集後記
会員の皆様へ。編集に手間取り創刊号の発行が遅くなった事をおわびします。今回の会報は創刊号ということもあって、発足にあたってのご挨拶や記念イベントをはじめ、全国各地に拡がる水琴窟の活動を中心に、網羅的にご紹介させていただきました。次号からは、より楽しい紙面づくりを目指し、水琴窟に関わる活動の具体的な紹介や人物インタビュー、レポートなど、興味深い記事を盛り込んでゆく予定です。また、会員からの投稿レポートなども掲載してゆきたいと思っていますので、是非ご参加ください。
編集・制作協力/
国方拓子・藤田誠典・白鳥芳洋・他
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日本水琴窟フォーラム会報Vol.2 夏号 2001年8月
※会報の画像等は省略してあります


JAPAN SUIKINKUTSU FORUM 
日本水琴窟フォーラム会報
Vol.2 夏号 
2001年8月
発行:日本水琴窟フォーラム 事務局

1頁

第一回総会が開催され、交流の輪がさらに拡がりました。

2001年度総会(第一回総会)
2001年6月9日 伊豆畑毛温泉 角萬旅館会議室にて。
同時開催:NPO法人(特定非営利活動法人)設立総会
日本水琴窟フォーラムが設立されて初めての総会には、全国各地から会員が参加し、新たな出会いと発見に満ちた“水琴窟愛好家”の集いとなりました。
西は島根県や兵庫県から、中部・東海は三重県や愛知県、静岡県、東は栃木県や群馬県、東京都など遠方からの参加を得て、角萬の会議室も“満員御礼”となるほどの盛況な第一回総会でした。
総会の前半は、各種報告や事業計画および役員案、NPO法人設立についての審議が行われ、会の全体意思と方針を確認しました。
後半は、各地より参加された会員やオブザーバーの方から自己紹介とあわせて水琴窟との関わり、その活動など様々なお話をしていただき、改めて水琴窟の持つ魅力とその拡がりを支えるひとり一人の“想い”に共感する交流会となりました。
総会終了後は、会場近くにある「水琴窟資料館」の展示を見学。新たに製作された「水琴窟のしくみ」縮尺モデルや今回特別に島根より搬入された“障子張り”の移動式室内水琴窟など珍しい展示に加え、水琴窟の水滴音の調子に合わせた“ひょっとこ踊り”の絶妙なパフォーマンスも披露されるなど、資料館見学はとても楽しいものとなりました。


2頁

水琴窟の調べと螢の乱舞…
幽玄なコンサートに250人

伊豆畑毛温泉を「水琴窟の里」にと活動している水琴窟の里づくり実行委員会は6月9日の夜、同温泉の角萬旅館庭園を会場に「水琴窟の調べvol.4―螢と音たちの観賞会」を催しました。日本水琴窟フォーラムの総会参加者や同温泉宿泊者、近在から約250人が訪れ、幽玄な一夜を楽しみました。
後援は角萬旅館・伊豆畑毛温泉観光協会・日本水琴窟フォーラム・韮山町芸術文化振興実行委員会。コンサートは尺八奏者に宮崎青畝さん、ハープ奏者に久保直子さんを迎え、螢も乱舞する風情ある雰囲気の中、訪れた人達は水琴窟の神秘的な音色(水琴窟師:田村光さん)とのセッションに耳を澄ませ幽玄な世界に浸りました。

■水琴窟の音色は、
或る時はコンサートホールの金管楽器に、
又或る時は深山に居る思い…。
今年の春、東京では珍しく唐津の米瓶を用いた水琴窟がある杉並区の一力邸を訪ねました。メンバーはフォーラムの中野之也代表と事務局の飛島さん、松島さんに加え、同じ杉並区にお住まいの谷口旦先生の4人。そこに一力さんのご配慮で近所にお住まいの鳥越けい子さん(日本サウンドスケープ協会)や一力邸の水琴窟を製作された庭師の笹隈さんも加わり、水琴窟や唐津焼のはなしに花が咲きました。唐津のご出身で作陶もされる一力さんは「水琴窟の音色を聞いていると、心も体もだんだん元気になってゆく気がします」と話されました。

■畳三畳一坪半
一力 安子

私の工房は畳三畳、一坪半の広さである。轆轤二台、テスト用小型電気窯、それに流し台、天井には作品の棚で、たった一人で作陶するには充分である。
十五年間、あまり上達したとは思えないけれど、中心が取れなくて廻してはつぶし、つぶしては廻し、時の経つのを忘れてしまった場所である。
それと庭の片隅の釉薬小屋。欅、栗、桑、松、藁、菜種。水簸したものしないもの、黒、グレー、こげ茶。まだ釉にもなっていないのに灰がいとおしくて掌からサラサラと落とす時、豊かな豊かな思いがする。それに長石、カオリン、ふるい等、此処も一坪半なのに私にとっては広い広い世界。あれこれと考えが果てしなく広がる場所である。
私は植木屋さんが子供の頃から大好きであった。その証拠には末の娘が彼をつれてくる直前迄、「植木に関した恋人を探してね」と最後には嘆願していた。その望みは達せられなかったが、その娘夫婦が中国へ行くことになり、その留守に念願の植木職の若い夫婦に二階に住んで貰う運命が待っていた。庭の事をして貰うより植木を職に選ぶ感覚が大好きなのである。
思いもしなかった三年間、二階と下で楽しい時季を過ごした。彼等は焼物が好きで、私はそのお師匠さんである。その名は笹隈賢次君、大学を出て親方の所へ住みこみ、技を磨き、ぼつぼつ独立をしようかと云う若い植木屋さんである。「僕が二階に居る間に一力さんの思う通りの庭を作りましょう」と天にも昇りそうな嬉しい申し出があった。それからと云うもの三人で相談したり次第に準備にかかり始めた。庭と云っても僅か二十坪程しかない。片や工房、一方には釉薬小屋、それに釉薬の干場も確保しなければならず孫が帰れば水遊びの場も必要である。
だから残りの片隅に坪庭的に力を入れようと決った。先ず私は蹲踞が好き、一寸した築山も欲しい。苔むせば素敵と夢を語る中にそれでは蹲踞に水琴窟を作ろう、いや是非作りたいと彼の夢が今度はふくらみ始めた。又畳三畳、一坪半である。
池を潰し、木を切り、水琴窟へ向ってまっしぐらになっていった。水琴窟はまだ例が少なく親方も経験が無いと云う。彼が数少ない本をしらべ始めた。
唐津の米瓶で、焼き具合が甘く少量の釉のかかったものを使用したと書いてある由。三人で府中を車で走っている時、ふと骨董屋の店先でその通りの大瓶が目にとまった。しかも唐津の米瓶だと云う。
私は唐津の産れ、婚家先は唐津の地主さん、そう云えば五十年前には蔵にこの瓶がいくつも並んでいたっけと思い出していた。この瓶を探した事が水琴窟の大成功の素であった。高さ一米、廻りはひと抱えの大きなものである。傷が無く、叩くと良い反響がある。それから二週間程、何せ凝り性の彼である、朝早くから夜おそく迄、ライトをつけての仕事が始った。
厚い瓶の底に割れない様に穴を開け、その穴があと五ミリ大きい方が音が良いのでは?と親方と耳をつけて研究していた。まわりを埋める小石も凝りたいと探してきた。苦心の結果、蹲踞も坐り、もみじも配され、かすかな築山、そこに苔が…。思う通りのものが出来上った。
大事な音は?これが本当に成功した。水を落とすと何の曇りもかげりもなく、カランコロンと鳴る。水を多く流すと饒舌に歌う。落ちつけば雫がゆっくりと太り、ポーンと落ちる。或る時はサントリーホールの金管楽器にも聞こえ、又或る時は深山に居る思いがする。
(日本陶磁協会発行「陶説」1991年7月号より転載)


3頁

■Topics
時の記念日に手作り漏剋と水琴窟
NPO活動で全国的に注目を浴びる三島市において、三島ゆうすい会は木工ボランティアグループ「遊水匠の会」と当フォーラム役員の水琴窟師・田村光さんの協力で、6月10日の「時の記念日」に水と音のセレモニー「手作り漏剋と“ふるさとの唄”のつどい」を催しました。
漏剋(ろうこく)とは水時計のこと。日本書紀では、飛鳥時代・斉明6年(660年)に中大兄皇子(天智天皇)が漏剋を初めて造り、人々に時刻を知らせたと記されています。
この催しでは、水琴窟師による「水琴窟の調べ」とともに、飛鳥時代の漏剋を復元した「漏剋台」に水入れのセレモニーが優雅にとりおこなわれ、水琴窟や時を刻む水の流れに耳をかたむけました。

■江戸後期の水琴窟を伊賀焼で復元。
披露コンサートも開催
三重県名張市の22代続く医者の屋敷、吉住邸の庭園で発見された水琴窟は、調査の結果江戸時代後期(十九世紀初め)につくられたものと見られ、瓶は割れて音が出なかったため新たに陶芸家が製作した瓶を埋め、石組み等は江戸時代のものをそのまま利用し同邸に復元された。
この甦った水琴窟は、昨年来吉住さんの依頼により日本水琴窟フォーラムの中野之也代表が調査・復元を計画してきたもので、江戸時代の水琴窟の発見や音が出るよう復元した例は全国的に少ない。
水琴窟用の瓶を製作した伊賀焼作家・植松永次氏の作品展のオープニング(今月5月)では、復元された水琴窟の響きと和太鼓や笛の響きが織りなす幻想的なコンサートが催され訪れた人を魅了した。
※吉住邸の見学は予約が必要。連絡先は0595-68-1110まで。

芝浦工業大学のシンポジウムに水琴窟
6月16日に開催された芝浦工業大学のイノヴェイティブシンポジウム「人間主義工学への挑戦」で水琴窟が紹介された。
地球自然環境をテーマとした講演と合わせて、水琴窟と尺八のコラボレーション演奏が披露され、一滴の水が奏でる“命の音”を来場者にアピールした。今回のステージでは、当フォーラム役員の飛島加代子さんが水琴窟師として初デビューし尺八との共演に挑戦した。

千葉県佐倉市にも水琴窟誕生!
佐倉市の住宅地に素敵な音色を奏でる水琴窟がこの6月誕生しました。製作したのは、ご主人の木村さんとフォーラムの新作さん、松島さん、飛島さんの4名。炎天下での設置工事となったが、力を合わせ夕刻にはひと通り完成。ピロ〜ン、ポロ〜ンと涼しげな音色が庭に響きわたりました。
木村家では、周辺地域には水琴窟を見かけないため、家族だけでなく機会をつくり近隣の方とも水琴窟の魅力を共感してゆきたい、と抱負を語られました。


4頁〜5頁

■甦る水琴窟
再発見・復元・普及の過程(その1)(1937〜1987)は、
本ホームページの水琴窟とはの中の水琴窟の再発見・復元・普及の経過に転載したので省略します。

■天声人語も本ホームページに転載してあります。


6頁

■水琴窟専用瓶の概要(常滑焼)
実願平4―79249

1、瓶のサイズ
瓶の高さ約60センチ、直径55センチ、底面直径30センチ。水琴窟用瓶は、あまり大きくても滴下音は大きくならない。
瓶の中の水面で発生した水滴音を瓶の上の流水穴から聴くので、瓶が大きいと滴下音は減衰して音は小さくなる。残響音も同じである。実験の結果、水滴音の最良最大の残響特性はこの瓶の大きさから得られると判断される。
2、瓶の材質
この瓶は水滴を発生させる装置でもある。そのためには陶磁器より焼成温度の低い素焼きが最適である。素焼きの瓶は地中に埋められた時、瓶の中の湿度を高く一定に保つ事が可能になる。高い湿度は水滴音の伝送にも残響特性にも影響を与える。
瓶の厚みは可能な限り薄く作られ、叩くと梵鐘のような音がする。この瓶により最良最大の水滴音を発生させることが出来る。
3、瓶の底面
瓶の底面の流水穴に水が急に瓶の中に流れ込むと、流水音のみとなって水滴音は出来にくい。この瓶の底面には、水がゆっくり流水穴に流れ込むように模様を焼き入れてある。
また瓶の底面内部には水滴が付着し易い様に渦巻状の模様が焼き入れてある。この二つの模様により、水の流れに十分な時間差を与えると共に、流水穴からの水滴をより長い時間にわたり滴下させることができ、落下する水滴が変化に富んだ水滴音を発生する。
4、瓶の内部
瓶内部の側壁全体に凹凸を作るため、櫛目を着けて焼き入れてある。このように凹凸面を作ると瓶の内部に水分が付着し、常に瓶内部に十分に湿気を持たせ滴下音の音色をよくすると共に、滴下音の反響効果を高める事が出来る。
5、瓶の流水穴
流水穴は、直径3センチ程の大きさで、内外両面から角度を着けて丸く磨いて仕上げてある。水の流れが瓶の底面内側に廻り込み、底面に広く水滴が行き渡るためである。
これにより水滴は底面内側の広い範囲にわたる異なる位置から滴下するため、より長い時間にわたり水滴音が発生すると共に、一滴一滴が変化に富んだ水滴音となる。
6、瓶の外側に「水琴窟」の文字が焼き込まれている。
(日本の音研究所・中野之也)

※ここにご紹介した常滑焼き「水琴窟専用瓶」は適正な設置環境下に於いて「音量・音色」   
共に優良で、“最初に音ありき”と考える日本水琴窟フォーラムでは、良質な水琴窟の普及のため特別にご紹介しています。詳しくは事務局までお問合せください。


7頁

■水琴窟ファンの声がアンケートに!
4月〜5月にかけて実施したアンケート調査には、多くの方にお答えいただき有難うございました。そのアンケートに見られた特徴的なデータを下記にお知らせします。
●お答えいただいた方の8割強が、水琴窟コンサート及び水琴窟関連資料に大きな興味をお持ちでした。
●会報に希望する情報としては、「全国の水琴窟活動紹介」と「各地の水琴窟紹介」が共に6割強、「水琴窟に携わる人物の紹介」と「水琴窟に関する技術紹介」が共に4割でした。
●また、水琴窟の「解説講座」や「製作講座」、「水琴窟見学ツアー」などを希望する方も数人いらっしゃいました。
●アンケート回答者の中には水琴窟をお持ちの方も含まれ、公開しても良いとお答えいただいた方の中より数件の連絡先を下記にご紹介します。見学希望のお問合せ時に、先方のご都合を必ずお伺いください。

▼斎藤美術館(茶室蹲踞):岐阜県郡上郡八幡町TEL0575-65-3539
▼木曽古文書歴史館(庭園蹲踞):岐阜県可児市TEL0574-64-3311
▼水琴窟研究所(庭園蹲踞):愛媛県温泉郡重信町TEL089-964-3633(和田様)
▼恵法寺(庭園蹲踞):山梨県東八代郡石和町TEL055-262-2324
▼千曲館(旅館ロビー):長野県/信州・戸倉上山田温泉TEL026-275-1111(桜井様)

●アンケートに記されたメッセージ文を一つご紹介します。 
幻といわれた水琴窟との「出会い」を大切にスポットを当て、更なるメジャーなものにして下さった中野さま率いる日本水琴窟フォーラムに今後も期待いたします。いつ、誰が創り出したものかはっきり解らない、本当に不思議なもの。創り出された時には斬新的なアイデアだった最先端の設備(しくみ)。
そのため、他に知らせることなく、書物にも書かれなかったのでは?と思っていました。
仏教も当初は最先端でしたが(茶道等も)いつしか伝統を重んじるあまり、ワクの中でしか動くことをしなくなってしまいました。
古き音、新しい音をもつ水琴窟の新たなる発展の、旅立ちの指針となることを期待します。
水琴窟は大地からの音と思い込んでいた者(私)にとって、様々な人々の奏でる音楽との融合コンサート等々会報で知りました。
ホスピス等で心を癒すなど新しい組み合わせに役立てられるのではないかと思います。
(山梨県/恵法寺ご住職・長崎湛慶様)

■News
マスコミに紹介されました
2001年5月21日・28日【NHK・FM】
サンセットパーク『週間・音発見』で2回にわたり、水琴窟と日本水琴窟フォーラム
のことが紹介されました。
2001年6月6日【J-WAVE】
若者に人気の放送「ジェイウェーブ」の『TEPCO AROUND THE TOKIO』で、日本水琴窟フォーラムと唯称寺の水琴窟が紹介されました。
2001年7月6日【読売新聞】
大きな紙面(右参照)で、日本水琴窟フォーラムと唯称寺の水琴窟が紹介されました。
2001年7月11日【上毛新聞・読売新聞】
当フォーラム会員である桐生市の石材会社社長、小島一夫さんが「粋な響きを楽しんで」と自作の移動式水琴窟を市に寄贈。この水琴窟は高さ90センチ、直径45センチのもので、中の水はポンプで循環させる仕組み。市民文化会館に設置される予定で、涼しげな音色が訪れる市民を楽しませそうだ。(要約)


8頁

■協賛広告募集中
フォーラムの活動を支援していただける企業や団体の広告を募集しています。広告掲
載料はフォーラムの活動費として活用させていただきますので、ご協力をお願いいた
します。広告スペースと掲載料は、1マス=天地5センチ×左右10センチ\15,000です。
詳しくは下記事務局までお問い合わせください。
■会員募集中
日本水琴窟フォーラムは、全国の水琴窟ファンおよび水琴窟関連の文化活動や研究、事業などに携わる方(個人/企業)を対象に、会員募集をしています。お申し込みは、氏名・住所・電話・FAX等をご記入の上、下記事務局までFAXください。折り返し入会申込書をさし上げます。
■ボランティアスタッフ募集中
日本水琴窟フォーラムでは、水琴窟に関する調査研究や情報基盤整備、交流促進等の事業をより円滑に推進するため、ボランティアスタッフ(技術協力者含む)を募集しています。(データベース編集/情報誌編集/ホームページ制作/事務局総務/イベント企画/水琴窟製作/記録・カメラマン/他)
ご協力していただける方は、氏名・住所・TEL・FAX・協力項目をご記入の上、事務局までFAXにてお申し出ください。
■水琴窟設置の指導や工事のご相談、及び水琴窟専用カメ、書籍、CD等のお求めは事務局まで直接お問い合わせください。

■編集後記
21世紀は「水の世紀」、というスローガンを最近マスコミ等で見かけます。また、2003年には「世界水フォーラム」が日本で開催されると聞きます。私達を取り囲む環境を考える時、“生命の水”そして“自然”は無くてはならないものです。
太古に於ては生命の誕生を促し、幾千年の歴史のなかで私達の生活と文化を育み支えてきたのは、他でもない“水と自然”だと言っても過言ではないでしょう。
自然界からの“一滴の水”と人間の知恵と感性。この二つの出会いから生まれた水琴窟の美しい音色は、私達に今日、何を語りかけているのでしょう…。
日本水琴窟フォーラムは、これからも水琴窟に、時代に“耳を澄まし”、仲間と共に歩んでゆきます。(松島)

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日本水琴窟フォーラム会報Vol.3 秋号 2001年11月
※会報の画像等は省略してあります


JAPAN SUIKINKUTSU FORUM 
日本水琴窟フォーラム会報
Vol.3 秋号 
2001年11月
発行:日本水琴窟フォーラム 事務局


1頁

■耳を澄ます。地球のいのちを知る・・・水琴窟の新作CDが完成。
21世紀は水の世紀であると言われている。豊かな自然環境を享受できる地球との、共生と共創の時代である。その第一歩は地球のいのちを知ることであろう。地球のいのちは天と地と水のシステムである。地球のいのちにまず心を開くこと、心を開くには心を澄ませる。そのひとつが耳を澄ませることである。現代の生活の中では静寂とか静閑という言葉はいつの間にか消えてしまつている。この『水琴窟』CDは、この言葉を自由自在に心の中に浮かびあがらせてくる。自然の水滴が奏でるハーモニーは人間が作ることの不可能な日本の音風景である。
そしてまた、水琴窟はメディアである。地球に生きている人間の心を結ぶメディアである。この『水琴窟』CDは中国の故事にある「壺中の天」を音で表現したいと発想した。 壺の中に座り水滴の姿を眺める。そして水滴の奏でる音楽を聴く。これは中国の蓬莱山、蓬壺を音によって表現した天国である。『水琴窟』CDは憩いの音楽、リラクゼーションミュージック、癒しの音楽でもない。心をダイレクトに刺激し活性化して、生きる力を新しく開発する日本の音風景である。
日本水琴窟フォーラム代表・中野之也

水琴窟の音色が甦る高品質なオリジナルCD。

日本水琴窟フォーラムは水琴窟の音源保存と水琴窟普及のため、かねてより計画していました「より自然な音色の水琴窟CD」をこの秋完成し、最新版オリジナルCDとして現在皆さまにご紹介しています。 水琴窟を聴く人の耳を捉え心に響く、あの神秘的とも言える音色を再現する事は、デジタル録音のCDでは音質も変化しなかなか難しいと言われています。今回の新作CDは、当フォーラムの中野代表が主宰する日本の音研究所のマスターテープを音源に、最新の音響技術を駆使し水琴窟の音色の再現性に挑戦した高品質なものです。 構成としては、リズミカルな音色、ゆったりとリラックスする音色、時折現われる珠玉の音色など、水琴窟の魅力が5つの音風景として一巻約50分に収録されています。 当フォーラムがご入会時や水琴窟コンサート等で今までお届けしてきた従来のCDとは全く重複しない内容となっていますので、会員の皆さまには是非ご試聴していただきたく、また身近で水琴窟にご興味を持たれる方にもご紹介していただきたいと思います。

■水滴音と瓶の中の響きを鮮明に再現。

今回の水琴窟CDを制作するにあたり、マスタリング&編集で最も留意した点は、マスターテープの音源(水琴窟の音)を、できる限り収録状態そのままの音色で再現することにありました。そのため、音響的には一切余分な要素を加えず、水琴窟の音色の特徴的な要素「響き」そのものに気を配りながらマスタリングをしました。
水面ではじける躍動感溢れる水滴。粒の大きささえ感じ取れる様な、存在感と立体感あふれる水滴たち。そして瓶の中の空気感。今までにある「環境の一部」として聞く水琴窟のCDではなく、水滴を主人公に、瓶の中心から空気や水を震わせ波紋が広がる様を、「鮮明な響き」とともに楽しんで頂ければと思います。
EXインダストリー
岡田正浩(スタジオ・ディレクター)

水琴窟の新作CD完成に際して
民俗音楽も含めて、ほとんどの音楽の音はCD等で聞くことができる。その反面、ストレスをやわらげてくれるような自然の音をあるがままに楽しむのには、今の環境は厳しすぎる。だからこそ「癒しのサウンド」が多くの人に求められ、静かな拡大を見せているのだろう。水琴窟の音とは、水滴が瓶の中の水面に落ち、その音を反響させる。たったこれだけの仕掛けでできている。しかしそのサウンドは無限の変化を聴かせてくれ、うるさいほどの存在を感じさせず、しかしふと醒めた瞬間には耳に気持ちよく伝わる。こんなCDが一枚、手元にあっても悪くないと思う。音量をやや低めにして鳴らしておくと、何とも言えない心地よい空間を感じる。
音響効果エンジニア 高野裕夫

■感想文
これまですっかり忘れて生きてきた。
「耳を澄ます」ということを。
その豊かさと複雑さ、怖さと愉しさを。
遠いところへ連れていってくれる音色。
「感覚の故郷」へと誘ってくれる振動。
水琴窟に出逢い、「耳を澄ます」ことの愉楽を、もう一度噛みしめる。

『五感の故郷をさぐる』著者・山下柚実
http://www.yuzumi.com/

『水琴窟』 北原宗積
水がうたう
土が こだまする
ひそやかに
見えかくれして
風化する
時の流れに

『水琴窟』 北原宗積
土の下に
小さな 宇宙がある
そこに
水の国がある
泉では
水の妖精たちが
琴を弾いて
遊んでいる


2頁〜3頁

甦る水琴窟
再発見・復元・普及の過程(その2)
(1988〜2000)は、
本ホームページの水琴窟とはの中の水琴窟の再発見・復元・普及の経過に転載したので省略します。

■日本の音風景@
美濃市今井邸水琴窟
平成8年7月環境庁から残したい日本の音風景100選が選定された。日本の音研究所が協力して製作した2カ所の水琴窟が認定された。江戸時代に起源を持つ水琴窟は「日本の音風景」に初めて2カ所認定された。この水琴窟は私達日本の音研究所が、最初に本格的な水琴窟の復元に取り組み、NHKテレビ放送により水琴窟が全国に知られる事になった水琴窟であった。
当時は日本の音、幻の音「水琴窟」のテーマを追い求めていた。しかしその後サウンドスケープ協会の設立総会に参加して、「サウンドスケープ=音風景」を確認した。
特に鳥越けい子氏の記念論文「サウンドスケープデザイン」には感服した。私達が無意識に水琴窟を製作してきた行為がサウンドスケープデザインであること、日本の庭園を新しい観点からサウンドスケープデザインとして考察すること、そして水琴窟もサウンドスケープデザインとして新しく再検討することにより、日本の音風景「水琴窟」としての進む道があることを教えられた。
今井邸水琴窟復元工事の模様は、昭和60年12月24日NHKテレビで放送され、水琴窟を日本の音風景として全国に認識させることが出来た。その後全国に静かな水琴窟ブームを巻き起こした。
先日10年ぶりに放送ビデオを見て、この放送が現在のサウンドスケープデザインの一つのモデルケースであることを発見した。
「サウンドスケープ」とは「気づきのためのしかけ」そのものであり、そこには明確なデザインの意図、デザイン力が込められている。そして「サウンドスケープ」という言葉が、わたしたちのデザイン活動において「聴覚」や「五感」の意識化をおこなってくれる。さらには環境世界を拡大してくれるという「専門領域としてのデザイン」から「人間として生きるためのデザイン」への拡大と復帰を要請している。
(中野之也/1996年 記事より)
※参考:鳥越けい子/現代のエスプリ「サウンドスケープとデザイン」

■日本の音風景A
高崎芸術短期大学・水琴窟
昭和61年高崎芸術短期大学では校庭内に日本庭園の作庭を開始した。当時の副学長〔現校長〕小池氏はこの庭園の名称を考えていた。偶然NHKテレビの水琴窟の番組を見て、庭園を「水琴亭」、音楽ホールを「水琴奏楽堂」と命名した。
水琴亭庭園も音楽ホールも工事中で、小池氏は水琴窟を見たことも聴いたことも無かった。音楽家でもある小池氏のひらめきであった。
平成元年高崎芸術短期大学を私が訪問、水琴亭のすべての作庭を無償で引き受けている藤井喜三郎先生にお話を伺い、感激して「水琴亭」水琴窟製作に協力することになった。平成元年7月、茶室つくばい水琴窟瓶2個を地下に埋める工事を、日本の音研究所の指導で完了した。
平成8年7月の『残したい日本の音風景100選』が選定され、群馬県の音風景に水琴亭水琴窟が選定されたことを知り、高崎芸術短期大学を再訪した。
大学北側の「水琴亭」の表札のある石造の門から眺めた庭園の姿に驚かされた。3500坪の庭園は7年前とは全く景観が変わっていた。7年前はむき出しの岩石に囲まれ深山に入った感じであったが、今は岩石は深い濃い緑の樹木に包まれ、激しく流れていた滝もやさしく柔らかい流れに変わっている。2年前に「水琴亭」完成と共に亡くなられた藤井先生の声が聞こえてくるような気がする。「水琴亭」の一番奥に艸居庵がある。その前庭に覆い被さるような樹木に囲まれて、ひっそりと、つくばい水琴窟がある。つくばいには筧から静かに水が落ちている。水琴窟の二つの瓶の音色は、野鳥の声とそよ風が自然に解け合って、不思議なハーモニーを奏でている。
当時は「サウンドスケープデザイン」の理解が浅かったことを痛感させられた。学長小池氏の明確なサウンドデザインの意図、それを見事に受け止めてサウンドスケープデザイン日本庭園を完成された、故藤井先生はじめ大学関係者の皆さんのご努力が、日本の音風景「水琴亭」を完成させたのである。
「サウンドスケープ」「日本の音風景」は、まだ言葉としても普遍化されていない。説明には困難が伴っている。しかしこの高崎芸術短期大学「水琴亭」には、「サウンドスケープデザイン」のひとつのモデルパターンが表現出来ている。
環境世界の構築から拡大、自然とのふれあい。その中から人間としての生きるための環境を作り上げて行く「日本の音風景」。それを新しい世代に教育する場、そのひとつの形がここにある。
(中野之也/1996年 記事より)
※参考:『残したい日本の音風景100選』実業之日本社


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□水琴点景

江戸時代の水琴窟復元にあたって
今年の夏は本当に暑かったですね。フォーラムの皆様はお元気でいらっしゃいましたか。
私共の水琴窟は初めての夏を無事乗り越え、最近の朝夕の涼しさに、ほっとしたように澄んだ音色を楽しませてくれています。今年五月に、江戸時代後期に造られたと言う我家の水琴窟がやっと復元され、平成の世に甦りました。
「水琴窟」という言葉の響きと、音色に魅せられて、私もず〜っと前から水琴窟の大ファンでした。それが我家の庭に埋っていると知ったのは、主人の叔母(八十歳)が何年か前に母親からの言い伝えで、あったと言う事を聞いているけどその音色は聞いた事がない、と言う話をしてくれた時からでした。
場所もはっきりしていなかったのですが多分ここかナアと言うつくばいと手水鉢が裏庭にあり、西村さんがお連れ下さった中野先生に見ていただき「ここですよ」との事。早々中野先生立ち合いの下、近所の庭師さん二人と友人のご主人の三人で土の中から直径32センチ程の少しグレーがかった植木鉢を掘り出してくれました。一部分は破損していましたが原型は留めていました。
「植木鉢かア・・・」少しがっかりする私に、昔は庭師さんの粋な遊び心で造られた廃物利用の排水口だったと中野先生に伺い、昔人の粋な計らいに感動を覚えました。その植木鉢の下にもう一つ味噌がめの様なかめが受け皿の様に埋っており、そのかめの周囲は瓦と石を交互に重ねて土で固めてしっかりと透き間なく埋め尽されていると言った工法で造られていた様です。
さて、さて新しい水琴窟の復元はどうしようか--私は百年先を想像しました。タイムカプセルの様に再び掘り出された時、やっぱり伊賀の土で焼かれたかめがいいナアと思い、伊賀在住の陶芸家植松永次氏にかめの製作をお願いしようと決心しました。友人がギャラリーをやっている為もあって、私は元々氏の作品にはぞっこんの大ファンで、その作風から想像して、きっといい音で鳴ると確信がありましたのでお願いをしたところ、氏は大変興味を持って心よくお引受け下さり、それからの数ヶ月は中野先生からお借りした水琴窟の資料を片時も離さず(トイレの中にも持参)、熱心な研究の結果、それは見事な水琴窟のかめが完成しました。五月中頃かめは製作者植松永次氏自らの手で大切に地中に埋められました。
復元方法は植松氏と二人の庭師さんと友人のご主人の三人で相談の結果、昔どうりの工法で復元しょうと言う事になり、昔と同じ瓦と石と土とでかめの周囲を埋め固め排水は自然排水の形を取りました。三つのパーツから成るかめはかなりの高温で焼かれた素焼で直径45センチ、高さ46センチの大きさです。埋めてしまうのが正直言って惜しくなる程そのかめは素晴らしい出来栄えの芸術作品でした。土の中に消えてしまった時、何か不思議な安堵と一抹の淋しさを覚えたのは私だけではなかった様です。水琴窟は上の皿をかくすかのように美しい玉石が敷かれ、大切に大切に復元作業が完了致しました。
五月二十五日の夜、植松氏の陶芸展のオープニングコンサートは復元完了した水琴窟と和太鼓と篠笛のジョイントコンサートでプロ奏者の演奏とマイクを通した水琴窟の水滴音の不思議な調和で百十名の地元のお客様と水琴窟の関係者を感動の渦に巻き込んでいった思い出深く印象に残るコンサートとなりました。
今我家の水琴窟は、尋ねて下さる方々の心のオアシスとなり、耳の遠くなられたおばあちゃまが竹筒を耳に当て、時折ピーンと澄んだ高音の水滴音が耳に届くと、「よく聞こえました!!」とそれは嬉しそうに顔を輝かせて喜んで下さったり、悩みを抱いて来られた方が「癒されました。」と笑顔を見せて下さったり、お父さんが子供さんを連れて来られたり、又「伊賀まちかど博物館」のご指定を受けた我家の新しい見せ場が増え、博物館を見に来て下さる方にも博物館の古い資料と共に水琴窟の音色を聞いて頂き、又私のコレクションの万華鏡約五十点ものぞいて頂き、「うちは三点セットなんですよ」とわざわざこんな辺ぴな場所をお尋ね下さる方に心のゆとりを取り戻していただきたいと大サービスの最近です。
復元にあたり、鈴鹿市の安養寺様、四日市の西村様にも大変お世話になりました。水琴窟は正に人と人との響き合いなんだと思わせられた今回の復元でした。ご先祖様が造って下さった昔の水琴窟がこうして平成の今の世に沢山の人との交流によってよみ返り再び涼しい音色を響かせている---。吉住家のご先祖様もきっと喜んで下さっているに違いないと思います。皆様本当に有難うございました。
平成十三年九月八日
名張市 吉住佳代子さん
※吉住家では「晩秋の休日、聞香(もんこう)を愉しむ―水琴窟の水音と共に―」と題するイベントが11月11日に開催されました。

吹き抜けのロビー空間に響く水琴窟の音
東京都世田谷の三軒茶屋駅前にあるキャロットタワーの吹き抜けのロビー空間に、水滴が反響する「ゆらぎの音」が響き渡り、通行人はどこからともなく聞こえてくる不思議な音色に耳を澄ましさわやかな気分を味わった。
この試みは「空間のインスタレーション2001」という10月下旬に開催されたアートイベントの一環で、多摩美術大学の堀内正弘助教授が日本水琴窟フォーラムの協力を得て「可動型水琴窟」を製作し展示したもの。
庭園などに見られる水琴窟は本来土中に埋め込まれているが、今回展示されたものは数少ない可動タイプのもの。明治時代の唐津焼の瓶を使い製作され、埋設型にも劣らない素晴らしい音色を響かせた。製作にあたっては、静岡県の水琴窟師・田村光氏の技術協力を得た。水琴窟の音は小さいので、瓶の中にマイクを入れロビーに音を流したが、可動型水琴窟から直接音色を聴くこともできる。
日本水琴窟フォーラムでは、日本古来の音文化である水琴窟の、このように現代の都市空間や生活空間における新たな可能性を求め、展示終了後にこの「可動型水琴窟」を東京都内の公共施設やロビーなどに公開設置してもらうことを考えている。
(お問い合わせは、事務局まで。FAXかメールでお願いします。)

平成の水琴窟、科学者と出逢う!
水琴窟は今日、垣根を超えさまざまな人と出会い、その耳を捉え心を魅了して止まない。そんな水琴窟ファンの中に科学者(物理学者)がお二人いる。ひとりは、フォーラム発足を報じる新聞で水琴窟のことを知り、記念コンサートにご夫婦で参加された物理学者で東海大学名誉教授の谷口先生。そしてもう一人の方は、水の研究など応用物理をご専門とされる渡部教授。同大学のお仲間であった。お二人は水琴窟に特別なご興味を持たれ、現地での計測調査や研究室での実験・分析など、物理学の視点から水琴窟の、特に水滴との関係を研究・考察されている。
今年の夏、谷口先生に引率され渡部教授の研究室を数名で訪ねる機会を得た。水滴形成や落下のプロセス、水滴音発生のメカニズム等々の解説や実験は、水琴窟の心臓部を目の当りに見る思いだった。また、科学者二人を囲むディスカッションは刺激に満ち、科学と人間のイマジネーションの親密な関係性、そして水琴窟の未知に広がる可能性を再確認する良き日であった。(松島 新)


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□NEWS & TOPICS

沖縄の八重山諸島3カ所に
いよいよ来春、水琴窟が誕生します!

八重山毎日新聞の記事(平成十三年九月四日)

東京・杉並区の万葉植物園と「象鼻盃と水琴窟を楽しむ集い」
向陽中学校の創立40周年を記念して昭和62年に開園された「万葉植物園」には、日本最古の歌集である「万葉集」に詠まれた様々な植物が集められている。この園は、自然に親しみ、古典にふれるゆとりとうるおいの空間になればとの目的で造られたもので、「杉並まちデザイン賞入選」や「杉並百景入選」と、地域でも高い評価を受けている。
同地には、瓶を地上に設置しみかげ石でおおったちょっと変わったタイプの水琴窟があり、訪ねる人の耳を楽しませている。
地域で活発に活動し、万葉植物園の設立にも協力した向陽スポーツ文化クラブが向陽中学校と共に設置したものだが、クラブ内の万葉植物同好会は先の8月に「象鼻盃と水琴窟を楽しむ集い」と題し、ユニークな集いを開催した。「象鼻盃(ぞうびはい)」とは古代中国の王侯貴族が楽しんだ雅びな遊びで、蓮の葉に酒を注ぎ、長い茎を通してこの酒を飲む遊び、との事。
万葉植物園に水琴窟、そして象鼻盃・・・。古来の文化を共に楽しむことから、また新たな交流がここでも始まっている。(松島)
(資料協力/高橋光安様)

お薦めします
江戸時代中期に創案されたと伝えられる“幻の水琴窟”を日本の貴重な文化遺産として捉え、その実態や文化性、歴史的背景など様々な角度からその真価に迫り、水琴窟の集大成を目指し平成3年に日本リゾートセンターより発刊された「幻の音風景 水琴窟」は、現在もなお水琴窟を詳述した書籍としては他に例をみないものです。全国の様々な水琴窟(音風景)を臨場感あふれる数多くの写真で紹介することをはじめ、作家、音楽家、庭園研究家等、各方面の方々がそれぞれの立場から水琴窟を考察した文章や、そのルーツを探る座談会、全国の水琴窟分布地図、制作年代・型式等も網羅した所在一覧表等、内容、資料性ともに優れたものです。
加えて、本書にはその音色を収録したCDも収蔵されています。水琴窟はもとより、清楚に生きつづけた水と音との日本の文化をご紹介する貴重な一冊としてお薦めします。
★会員特別価格 19,500円
  一般価格 25,000円(共に税込み・送料別途)
上製本/布貼りケース入り・CD付き

常滑の伝統工芸から誕生した水琴窟専用瓶のさまざまな工夫
瓶の高さ約60センチ、直径55センチ、底面直径30センチ。水琴窟用瓶は、あまり大きくても滴下音は大きくならない。
この瓶は水滴を発生させる装置でもある。そのためには陶磁器より焼成温度の低い素焼きが最適である。素焼きの瓶は地中に埋められた時、瓶の中の湿度を高く一定に保つ事が可能になる。高い湿度は水滴音の伝送にも残響特性にも影響を与える。瓶の厚みは可能な限り薄く作られ、叩くと梵鐘のような音がする。この瓶により最
良最大の水滴音を発生させることが出来る。   
この瓶の底面には、水がゆっくり流水穴に流れ込むように模様を焼き入れてある。また瓶の底面内部には水滴が付着し易い様に渦巻状の模様が焼き入れてあり、落下する水滴が変化に富んだ水滴音を発生する。
★会員特別価格 120,000円
  一般価格 150,000円
  (共に税込み・送料含)
実願平4・79249
お申し込みは、日本水琴窟フォーラム事務局まで


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■水琴窟オリジナル新作CDお申し込み用紙
●CDタイトル:水琴窟 THE SOUNDSCAPE OF SUIKINKUTSU
定価:¥2,500(非会員価格/税込/梱包郵送料別途¥300)
会員特別価格:¥2,000(税込/梱包郵送料別途)
※会員のみ最初の1枚に限り試聴用として¥1,000(税込/梱包郵送料別途)でお分けします。また、10枚以上お申し込みの場合は多少の割引きがあります。
●お申し込みの方は下欄にご記入の上、FAXでご送付ください。
新作オリジナルCD 試聴用 1枚
追加申込み枚数         枚
ご氏名
送付先住所
TEL:
FAX:
●お申し込み先:
日本水琴窟フォーラム FAX03(3785)3168
■協賛広告募集中
広告掲載料はフォーラムの活動費として活用させていただきます。広告スペースは1マス=天地5センチ×左右10センチ、掲載料は次回より値下げし、1マス\5,000です。ご協力をよろしくお願いいたします。
お申し込み・お問い合わせは、フォーラム会報編集室[(株)ファクトリー内]
TEL03-5958-1350・FAX03-5958-1351 担当:松島まで。
■会員募集中
日本水琴窟フォーラムは、全国の水琴窟ファンおよび水琴窟関連の文化活動や研究、事業などに携わる方(個人/企業)を対象に、会員募集をしています。
(正会員:入会金4000円、年会費6000円/賛助会員:年会費3万円/共にCD付き)
●お申し込み
は、氏名・住所・電話・FAX等をご記入の上、下記事務局までFAXください。折り返し入会申込書をお送りします。

■ 編集後記
以前より思っていた事ですが、大地を器として自然の恵みを受ける「水琴窟」は、まるでその水滴たちがつくる波紋の拡がりのように、素敵な「時間や空間」を生み、また、人と人とを繋げます。それは、自然と人とが深い所で強く結びつき、互いに引き合う引力を持っているかのようです。
私が水琴窟と出会った16年前には、「水琴窟」を言葉だけでも知る人は多くて百人中一人か二人程でしたが、今日では十人に一人くらいは「水琴窟」をご存知の様子です。そこに至るまでには、想像以上に多くの人々の関心を集め、水琴窟を囲む「時と場」が持たれた事でしょう。
当フォーラムのホームページも次第に内容充実し、インターネットでの訪問者が次第に増える中、新たな出会いが待たれます。(松島)

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日本水琴窟フォーラム会報Vol.4 新年号 2002年1月
※会報の画像等は省略してあります


JAPAN SUIKINKUTSU FORUM 
日本水琴窟フォーラム会報
Vol.4 新年号 
2002年1月
発行:日本水琴窟フォーラム 事務局

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■日本水琴窟フオーラムの一年を振り返って

2001年の10大ニュース
1.発足記念コンサートの開催(東京・唯称寺)
2.ホームページwww.suikinkutsu.comの開設  
3.日本水琴窟フォーラム第一回総会の開催(伊豆畑毛温泉)  
4.NPO(特定非営利活動法人)日本水琴窟フオーラム設立総会
  および設立申請(東京都)
5.朝日新聞、NHKテレビ、ラジオ、その他雑誌・会報誌等に紹介多数
6.オリジナル水琴窟CDの制作・発売
7.日本水琴窟フオーラムの会報誌を発行(季刊) 
8.幻の水琴窟(江戸時代・大正時代)の復元に協力
9.水琴窟の設置協力(東京都品川区/千葉県佐倉市/愛知県日進市)
10.各地開催のイベントに協賛・協力
  (芝浦工大/世田谷区キャロットタワー/四日市水琴窟セミナー)

●日本水琴窟フオーラム代表 中野之也
あけましておめでとうございます。
昨年は私にとって生涯で最良の年となりました。長年の夢であった水琴窟の全国組織「日本水琴窟フオーラム」が誕生した年となったからです。一昨年の夏、設立準備会がスタートしてから準備会委員の献身的なご協力、そして全国会員の熱烈なご支援がなければ「日本水琴窟フオーラム」の発足は困難な事でした。
日本水琴窟フオーラムは、今年からやっと歩き始めた赤ちゃんです。この赤ん坊を育てるのは全国の会員の皆様です。おかげさまで、会員数は現在約90名となりました。今年もフオーラムへの熱烈なご支援とご協力をよろしくお願いいたします。
現在、日本水琴窟フオーラムの協力事業として予定されているものに、今年の4月沖縄八重山諸島に水琴窟を3基製作する計画があります。また、構想・準備中のものは、水琴窟の共同住宅施設や博物館などへの導入があります。そして、全国各地の会員が進行計画中の水琴窟関連の各種イベントです。ご期待ください。
インターネットでは、日本水琴窟フオーラムの「ホームページ」がスタートしており、また、水琴窟関連の資料・データ整理も進行中です。事務局の整備とともに、全国会員の皆様のご要望に応えられる体制を作りたいと考えています。
本年もよろしくお願いいたします。

ホームページ充実。全国の水琴窟分布がわかるデータベースも掲載!
日本水琴窟フォーラムのホームページがインターネット上に立ち上がっています。
昨年の5月に開設し会のご案内をしておりましたが、10月下旬に大幅に内容を更新・充実いたしました。現在ホームページへの来訪者は600名(2002年10月20日から2ヶ月で)と、水琴窟や当フォーラムへの関心の高さがうかがえます。
内容は、フォーラムの概要紹介や活動、水琴窟の紹介、Eメールなど5つの項目で構成されています。中でも「水琴窟とは」の項目では、ヒストリー「水琴窟の再発見・復元・普及の過程」や全国の分布状況が分る「全国水琴窟データベース」、「研究文献・資料」、「書籍・CD案内」などが掲載され、水琴窟関連のホームページとしては他に類を見ないサイトとなっています。今後更に更新し充実しますのでご注目ください。


2頁〜3頁

■甦る水琴窟2001年・平成13年は、本ホームページの水琴窟とはの中の水琴窟の再発見・復元・普及の経過に転載したので省略します   

■水琴窟を巡る旅
日本水琴窟フォーラム代表 中野 之也
日本の音風景A
浅岡邸の「青蛙洞水琴窟」
平成12年の暮、水琴窟を聞かせて欲しいと日本の音研究所(愛知県日進市)を訪ねられたご婦人がいました。私と同世代と見えるそのご婦人は、私の家(日音研)から歩いて5分のところに住んでいる浅岡さんという方で、同所の5つの瓶の水琴窟を熱心に聞かれていました。
 その後ふたたび来られ、私の家に水琴窟を作りたい、ぜひ相談に乗って欲しいとの事。浅岡さんは3年前に家を改築し、その時庭も自分で考えて石を入れつくばいも作ったが、そこに水琴窟を作りたいので庭を見て欲しいとの事でした。
 浅岡邸は静かな環境にあり庭も広いつくばいもあるが、庭全体の構成に少々まとまりが無く、つくばいも生かされていないと感じました。寒い冬では工事は難しいので、春を待って工事をすることにし、水琴窟用の瓶は、私の家にある古瓶を進呈することにしました。しかしつくばいを格式のある形にするには庭師の協力が必要のため、「東海水琴窟ネツト」の会員で京都の藤井造園で水琴窟を作られている恵那市の田中造園に依頼することにしました。そして、平成13年の春4月に工事は完成しました。
 水琴窟の音は、古い素焼きの良質な瓶のため大きい家の中でもよく聞こえ、また、水鉢は蛙の彫刻のある見事なもので、私はこの浅岡邸の水琴窟を「青蛙洞水琴窟」と命名しました。
(浅岡邸写真キャプション)
水鉢には「青蛙洞水琴窟」の由来となった蛙の彫刻が・・・ 
瓶の脇にコンクリート製のマスを設置し水位調節や排水機能などを補助する工法

●我が家の水琴窟
名古屋市 深田利恒様
深田さんの家は大正15年に建てられた飯田街道沿いの商家。戦前は金物屋だったが戦後は廃業したとのこと、家は全く建築設当時と変わっておらず、縁先手水鉢も当時そのままに残されています。この家は今年で作られてから77年、人間なら喜寿を迎える年です。私はこの深田邸の、当時の面影を残し音もそのままの貴重な水琴窟を『喜寿水琴窟』と命名したいと思います。
※3月23日(土)に深田邸で「喜寿水琴窟の復元を祝う茶会」開催の予定。
※深田利恒邸:事前連絡の上、見学可。
名古屋市千種区大久手7−18  電話052−741−0820


4頁

□水琴点景
■ 秋田の全應寺に地中の妙音響く
清水利用し住職が自力で製作(平成6年)
秋田県北秋田郡比内町にあり、安土桃山時代の開創と伝わる歴史ある寺院・全應寺(ぜんのうじ)には、秋田県で第一号といわれる水琴窟がある。佐藤仁鳳住職が山から引いた清水を活用したもので、境内のけれん味のない庭園に囲まれ、静寂な禅院の趣を伝えている。
また、広々とした境内には大小の美しい池があり、水に縁も深い。佐藤住職が初めて水琴窟の存在を知ったのは、水琴窟がマスコミに盛んに取り上げられた17年ほど前。その後研究を重ね、自力で完成させたのは1994年(平成6年)。日本の音研究所(中野之也)や四国の水琴窟研究家・和田氏に製法の問い合わせなど協力を仰いだという。佐藤住職の水琴窟に関するイメージの原点は、井戸から水をくむ時の「ポローン、ポローン」と水が滴り落ちる音色との事。
水は本堂から約300メートル離れた境内の裏山から、独力で配管し清水を引いた。また、自ら考案した水量調節バルブ、水琴窟と本堂や客間をつないだスピーカーも自慢の一つ。うわさが広まり、同寺への来訪者は後を絶たないという。

水琴窟 大館短歌会 佐藤仁鳳様資料提供

・荒びたる心さすりてくるるごと
かすか響きて水琴窟やさし
浅川昭子

・苔むして太くなりたる筧より
みたらし細く流れ来
伊藤 弘

・細く澄む水琴窟を聞くからと
腰まげ肩よせ耳傾けり
館田レイ子

・耳澄まし水琴窟を聴きおれば
浄土の使者の声にも聞ゆ
原 奈穂子

・人の皆去りたるあとに吾ひとり
水琴窟の音を聞き澄ます
樋口健次郎

・耳すます友の面美し水琴窟の音
聴かむとしてひたむきなさま
藤沢民子

・全応寺境内の水琴窟のそのほとり
丈ひくく水引草の咲く
藤盛千田代

晩秋の休日、聞香(もんこう)を愉しむ
=水琴窟の水音と共に=
古い歴史の息づく町にあり、「伊賀まちかど博物館」にも指定されている吉住邸(三重県名張市)の奥座敷で、日本特有の香り文化「聞香」が昨年11月11日に催されました。
「聞香」とは何種類かの香を記憶してその香を聞き当てる、というとても風流な遊びです。ただ香りを当てるだけでなく、文学的な主題や季節感あふれる優雅な雰囲気を味わうことができます。又お香は、疲労回復や自律神経の働きをよくすると言われています。
催された「聞香」は、源氏物語にちなんだ組香で幽玄の世界へいざなう「源氏香」をテーマとし、この香席では、吉住邸の中庭に甦った「水琴窟」の音色がBGMとして流れました。地中に埋められた瓶の中に滴り落ちる琴の音色にも似た風雅な水音。その玄妙な水の「音を聞く」と共に「香を聞く」中で、自然に深い呼吸になり、普段意識することのない時間の流れを感じる素敵なひとときとなりました。
また香席には、おいしいお茶と和菓子や挿し花も添えられ、晩秋の休日にふさわしい楽しい集い(約40名)となりました。
※聞香・香元(講師):林みどり氏、茶師:谷口郁男氏、挿花:厚見
美幸氏、和菓子作家:田中よし氏/主催:地球ネットワークらくだ企画
(吉住さん)TEL0595-68-1110 

水琴窟とスピーカーの出会い
エルシー電機・代表  石塚 進様
私と水琴窟の出会いはかれこれ8年前のことでした。音の研究をしている人々が集まる「日本サウンドスケープ協会」でも活動されていた中野之也さんから、水琴窟の繊細な音色をスピーカーで再現出来ないものかと尋ねられ、さっそく研究に取り掛かりました。そして、その結果を1995年2月に「日本サウンドスケープ協会」と「日本音響学会音楽音響研究会」の共同研究会で発表いたしました。
その後、水琴窟の集まりで三重県四日市の西村昌子さんと出会い、水琴窟の繊細な音色を多くの人に聴かせる事が出来ないかと相談されました。2000年11月の「音から環境を考える」イベントでは、スピーカー・機材を持ち込み「移動型水琴窟」の音を再現し、中野之也さんも聞かれて絶賛して頂きました。
後日、当社のスピーカーを展示会に出展する時の音源として卓上水琴窟を借りに日本水琴窟フォーラム事務局に伺ったところ、飛島さんから幻想的な絵を書き上げるときのイメージ音として、繊細で心癒す水琴窟の音色を10数人の描き手に聞かせることが出来ますか?と相談されました。武蔵小山の唯称寺にスピーカーを持参した時も、当寺でコンサートを行ったが水琴窟の音をそのまま大きくスピーカーから出すのがむずかしく苦労したと住職が言われました。
私は、音の職人ですので大変苦労したと聞かされると力が湧いてきました。当社のスピーカーは再現性が高いため手間取ることなく音響のセットを済ますことが出来ます。水琴窟の音色が部屋にしみわたり、絵を書き始めた数人が水琴窟の音色が心地よく心に入り込み、知らぬ間に水滴をイメージした絵を描き上げてしまったと語られました。
その後、桐生市の小島さんと出会い、唯称寺や秋間さんの奏でる音と自分が作った水琴窟の音が違い過ぎるのでみてほしいと頼まれた。再現性の低いスピーカー(B社製)で鳴らしており、当社製と交換すると唯称寺と同じ音色を奏で、小島さんは水琴窟の製作に一層励んでいらっしゃいます。


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■NEWS&TOPICS
自然音具の展示と演奏『音のカーテン展』
2002年2月3日(日)〜11日(月) 銀座アビタシオン
「自然音」の研究家で、水琴窟にも造詣が深い高野昌昭さん(音あそびの会代表/日本水琴窟フォーラム会員)が、長年研究を続けてきた「自然音具」のテーマ”音のカーテン”を中心に、ユニークな展示を開催する。
展示には、常滑焼小片を綴った「音のカーテン」(東急ハンズ準大賞受賞作品)や、水琴窟をヒントに最近考案したアルミ製の”卓上水滴音(仮名)”など、自然音を愛し研究を続ける高野さんならではの楽しい作品が数々出品される。また今回の展示では、高野さんの定評ある”自然音具演奏”も同時に披露される。
20年程前から自然音具の創作やコンサートに取り組む「音あそびの会」は、今までスタジオや街頭、学校の総合学習授業などの現場でその実践を続けており、NHKや新聞などマスコミにも度々紹介されてきたが、展示公開は今回が初めてとなる。
※楽しい企画展となる事が予想されますので、是非ご覧ください。
●主な展示作品
音のカーテン:セラミック(常滑焼)、竹炭、金属各種、紙、布、ステンドグラス、鉛筆
卓上水滴音(仮名):新作発表展示
音あそびの自然音具たち:各種(演奏・説明)
●会場:ギャルリ・プス GALERIE POUSSE
    TEL03(5565)3870
    東京都中央区銀座5-14-16銀座アビタシオン201
●日時:2002年2月3日(日)〜11日(月・祝日) 
    各日、正午より午後6時まで(常時説明・演奏します)
●主催:音あそびの会 高野昌昭(たかの・まさあき)
    TEL03(3941)7395
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■編集後記
  
日本水琴窟フォーラムが誕生した昨年、21世紀初年は同時に、企業倒産やテロ、地域戦争が相次ぐ混迷の年となりました。日本に住んでいながら、「日本が見えない!」という、複雑な心境になる人は私だけではないでしょう。このような時代にあって、益々大切になってゆくものは、“目には見えないもの”のように思われます。
水琴窟の魅力をより多くの方に知って頂きたいと、改めて日本水琴窟フォーラムの役割を考える年頭です。(松島 新)

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特定非営利活動法人
日本水琴窟フォーラム会報Vol.5 2002年9月
※会報の画像等は省略してあります

NPO JAPAN SUIKINKUTSU FORUM 
特定非営利活動法人日本水琴窟フォーラム会報
Vol.5  
2002年9月
発行:特定非営利活動法人日本水琴窟フォーラム 事務局
 
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■水琴窟普及の契機となった美濃市で通常総会を開催

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水琴窟 幽玄な音色 胡弓に合わせ演奏披露
 
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鈴木さんの爆弾水琴窟 谷口 旦/渡部由雄

 

平成14年7月27日(土)の午後、上野君と石原君、谷口と渡部の4人で水琴窟の見学に行って参りました。鈴木重治さんの道場窯は豊田市の外れの山間の竹林の中にあり、丸窯と登り窯を備えた素敵な工房です。敷地内に、安政年間に道場と言う名の寺子屋があって、その記念碑がありました。道場窯は寺子屋に因んで名付けたそうです。

 鈴木さんの第一印象は、優しいお顔と大きくてたくましい手の持ち主でいらっしゃることでした。鈴木さんは常滑に生まれ、ご幼少の頃から、窯元の伯父さんの家で焼き物の修行をなさったそうです。中学を卒業され、陸軍の砲兵学校に入学し、来る日も来る日も絶対音感を基本とする音響学の勉強をされたそうです。しかし、戦争末期になりいざ戦場に行くも機材が無く、実戦での経験はほとんどなさらなかったそうです。むしろ、絶対音感は十数年前から興味を持ち始めた、水琴窟の音色の聞き分けに役に立っているそうです。 

 焼き物をなさっているだけあって、水琴窟の加工はお手の物のようでした。水琴窟の加工にはサンダーを使うと便利だとおっしゃっておられました。戦時中に焼かれた、大きな化学薬品を入れた球状の瓶を加工し、水琴窟をつくっておられました。形から『爆弾水琴窟』と呼ぶのだそうです。『爆弾水琴窟』は大きなものと小さなものと2種類あり、特に小さい方の音色は低く、基本の音が800〜1500Hzで、涼しげで響きのある実に素晴らしいものでした。 

 我々は鈴木さんとのお話しから、水琴窟の研究に関して多くのヒントを得ることが出来ました。また、『爆弾水琴窟』を含めて、水琴窟の音響特性を測定させていただきました。鈴木さん本当にありがとうございました。夕闇が迫る頃、鈴木さんに送られて、帰路につきました。写真は中央が鈴木さんで、『爆弾水琴窟』を前にして撮らせていただいたものです。
 

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軍事用陶器を平和利用 名古屋の鈴木さん水琴窟に再加工
 
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沖縄県初の水琴窟設置
●八重山毎日新聞
NPO日本水琴窟フォーラムが
 
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●琉球新報
水琴窟を埋設 NPOが石垣島と小浜島に
 
7頁〜10頁

水琴窟の音           谷口 旦/渡部由雄

 

長い歴史をかけて磨かれた技術や製品は、自然科学の本質に触れる手がかりの宝庫であり、奥が深くて素晴らしいものです。最近、水琴窟フォーラムの皆様のご紹介で、幾つかの水琴窟を見ることが出来ました。まさに水琴窟はその一つだと思います。以下で、我々が見た幾つかの水琴窟について観察した結果を紹介したいと思います(図1)。

図1 田村光氏の創作水琴窟「華水琴」

高さ53cm、胴回り110cm、水滴の落下距離36cmの可動型水琴窟で
す。
 

水琴窟が涼しげな音色を奏でています。水琴窟の上からは少量の水が流れ続けて、この水が水琴窟の天井で水滴となって成長し落下しています。水滴は水琴窟の底に貯まった水面に衝突し、音源となる音を発生します。この音が水琴窟の瓶壁に当たって反響し、数種類の残響音となります。音源の音はほとんど聞こえないので、われわれはこの残響音を水琴窟の音と呼んでいます。

●水滴の落下距離は40cmが最適

水琴窟の天井で成長する水滴は面積が広くて水平な場所で大きく成長します。また、成長時間が3秒程度までは時間が長いほど大きくなります。成長した水滴は、はじめに大きな水滴(直径6mm)が切り離されて落下し、続いて小さな水滴(直径1mm)が数個落下します。水琴窟の底に貯まった液面に最初の水滴が落下すると、大きな窪み(直径20mm)が出来ます。この大きな窪みの中へ後続の小さな水滴が落下して、小さな窪みをつくり、それが気泡となります。大きな窪みは小さな気泡を抱えたまま上昇して、こけし状の水柱を形成します。この水柱が落下して、周りに波紋が広がり、後に気泡の泡が残りますが、その泡もやがて消えます(図2)。

図2 水滴の成長と落下

曲率半径20cmの時計皿に小穴を開け、そこに水を流し込に、皿の下面で成長
する水滴です。水滴が6秒間隔で成長し落下している場合で、大きな水滴(直径6.5mm)に続いて、4個の小さな水滴(直径1〜2mm)が落下しています。


最初の大きな水滴が衝突してできた大きな窪みに、後続の小さな水滴の1〜2個が衝突して出来る気泡の振動が、まさに水琴窟の音源です。気泡が出来た瞬間から800〜1500Hz(1秒間の振動数)の音が聞こえはじめ、それがこけし状の水柱に抱え込まれて、こけし状の水柱が最高点に達するまでの0.05〜0.08秒程度聞こえます。最初の大きな水滴が衝突して大きな窪みをつくるとき、および最後に気泡が水面に浮かんではじけるとき、普通想像するように、音が出るには出ます。しかし、それらは10000Hz以上の小さな音で、小さすぎてまた高すぎて人間の耳には聞こえません(図3)。

図3 水滴の衝突と音
図2と同じ条件で、一連の水滴が時計皿から36cm下の水槽水面に落下し衝突したときの高速写真と音の記録です。写真と音の時間は同じになっています。大きな水滴の衝突のとき(A)およびそれによる大きな窪みが出来たとき(B)には音がしません。後続の小さな水滴が窪みをつくり(C)、それが気泡になった瞬間(D)から800Hz程度の強い音が聞こえます。その後、(E)と(F)を経て、その気泡がこけし状の水柱に抱え込まれるた後(G)も音は弱くなりますが聞こえます。(H)は水柱が落下して後に気泡が浮かんだときです。
 

音源の音の大きさと振動数は一連の水滴の大きさと水面までの落下距離によって変わります。水滴の成長する場所が水平でなかったり成長が速いと、一連の水滴が小さくて気泡も小さくなり、音が高く成り過ぎます。一方、水滴が切り離されてから水面までの落下距離は40cm程度が最適です。短い距離の10cmから40cmまでは、高い音(振動数1600Hz)から低い音(800Hz)に近づき、音の大きさも次第に大きくなります。それぞれの落下距離のときの音は高さも大きさも安定したものになります。次に、40cmを越えて80cmと長くなるほど、音の高さは40cmの時の音から一層高い範囲(800〜1500Hz)になり、それぞれの音の高さや大きさが変化し、不安定になります。従って、落下距離は40cm程度が音が低くて大きく、安定した音源となります。

●水琴窟の残響音

水滴は瓶の中央辺りの水面に落下するので、気泡の振動である音源もその位置になります。水滴の衝突で気泡が発生し、その後0.05〜0.08秒程度、音源は音を出し続けます。その音は瓶の中で水面から上の空間に向かって四方に広がり、水琴窟の側壁や天井で反射し、そこからまた四方へ広がり、それらがまた反射して、水琴窟の中の空間は音でいっぱいになります。

気泡の音源が音を出しはじめてから0.2秒程度は、音源の音とは違った複数の音が聞こえます。また、この間に、これら複数の音の多くは減衰して聞こえなくなります。しかし、その後0.8秒程度、この複数の音の内1〜2の音が残って長く聞こえます。この1〜2個の残響音がそれぞれの水琴窟を特徴づける音となっています(図
4)。

図4 「華水琴」の音色
このときの気泡の振動による音源の振動数は820〜900Hzと予想されます。音色を構成する残響音の主な振動数は1033、1302、1410、1765Hzです。1302Hzの音だけが長く1秒程度聞こえますが、残りの音は0.2秒程度で消えています。横軸が振動数、左の軸が時間、右の軸は音の強さ(パワースペクトル密度)を表しています。


音源の音から生じる複数の残響音の高さは、多くの場合音源の高さの1〜1.5倍になります。例外的に、低い残響音が発生することもあります。水滴の成長する面を水琴窟の上方に設け、水滴の落下距離を一定になるように瓶の中の水位を上げると、音源の音の高さは変化しません。このようにして、音源の音を変えないで、瓶の水位を上げると、残響音の多くは音が高くなります。しかし、残響音の内の長く聞こえる1〜2個の音は水位を変えても音の高さが変化しない場合があります。このことから、多くの残響音は瓶の中で上下方向に、長く聞こえる1〜2個の音は水平方向に音が伝搬して共鳴しているのでしょう。

音源の音が瓶の側壁や天井で反射して生じる複数の残響音として、瓶の振動によるものおよび水琴窟の空気の振動よるものが考えられます。そこで瓶を手で叩いて、瓶を振動させた音を調べると、そのほとんどが残響音と違った高さの音となります。このことから、残響音のほとんどは瓶の中の空気の振動によるものだと考えられます。しかし、瓶に粘土を張るなどして、瓶を固定すると残響音が変わることがあります。このことは瓶を固定すると水琴窟の側壁での反射の状態が変わり、残響音の高さや大きさが変化するのでしょう。


水琴窟の音色の音源は、水滴が水面に衝突して出来る気泡の振動ですが、水滴の大きさ、個数および落下距離によって支配されています。また、この音源によって生じる残響音は、水琴窟の形や大きさ、および水琴窟の側壁の厚さや堅さに支配されています。また、その水琴窟の外壁を砂やコンクリートで固定しないように設置する必要があるのかも知れません。観測口の位置によって音がずいぶん異なるようです。このようにして、創られた水琴窟は、数種類の残響音を出し、それらの内で速く消えるものと長く尾を引くものとの組み合わせによって、涼しげで素敵な音を奏でているのでしょう。

 

11頁〜13頁

水琴窟分布一覧2002
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北海道の陶芸家による創作水琴窟「壷中琴」
 
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栃木で水琴窟愛好の輪広がる
 
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三島市が環境整備事業で水琴窟を活用
 
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水琴窟の所在調査にご協力ください
 
20頁

TOPICS

■編集後記

 
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特定非営利活動法人
日本水琴窟フォーラム会報Vol.6 新年号 2003年1月
※会報の画像等は省略してあります

NPO JAPAN SUIKINKUTSU FORUM 
特定非営利活動法人日本水琴窟フォーラム会報
Vol.6 新年号  
2003年1月
発行:特定非営利活動法人日本水琴窟フォーラム 事務局
 
1頁〜3頁

北海道・旭川市の細野邸に「日本最北端の水琴窟」が完成!

昨年の春に「日本最南端の水琴窟」が沖縄県石垣島に誕生し話題を呼びましたが、引き続き昨秋10月、旭川市の細野邸に「日本最北端の水琴窟」が誕生し、注目されています。製作したのは当フォーラムの会員である細野進さん。 

冬季はマイナス20度以下にもなる環境での水琴窟は極めて珍しく、大雪山系の伏流水を利用したり、野菜等を地中に貯蔵する「室(むろ)」を活用するなど、細野さん独自のさまざまな工夫が施されているユニークな水琴窟です。  

“江戸開府400年”に当たる今年、江戸時代の日本庭園で創案された水琴窟が、日本の最北端・北海道と最南端・沖縄でその美しい音色を響かせているとは、なんとも愉快ではありませんか。感謝…。

※細野邸の水琴窟は、「旭川タイムズライナーネットワーク」「北海道経済」の他、「あさひかわ新聞」H14.10.29、生活情報マガジン「FIT」旭川版12月号にも詳しく紹介されました。

※この冬、細野様は邸内の夢春庵に「雪室水琴窟」を製作し、雪室の中で仲間と水琴窟を楽しんでいます。

●旭川タイムズライナーネットワーク記事

●北海道経済 フリータウン記事
 

4頁〜6頁

水や音と戯れ、自然に学ぶ 岐阜・こばと幼稚園に水琴窟完成

平成14年11月、岐阜市のこばと幼稚園に新たな水琴窟が誕生しました。  

自然学習・環境教育を身近で日常的な教育現場から実践する、という革新的な試みとして期待されています。日本水琴窟フォーラムのメンバーが監修指導した今回の水琴窟誕生の概要を、報道資料と中野代表の報告文でご紹介します。 

こばと幼稚園『織部水琴窟』初音会
○日時/平成14年11月 6日(水)午前11時
○場所/岐阜市鹿島町4−15 こばと幼稚園 なかよしガーデン
        開会の挨拶    加納こばと幼稚園長
        来賓挨拶      岐阜市教育委員会代表
                                日本水琴窟フオーラム代表理事・中野之也
               こばと幼稚園PTA会長
        こばと幼稚園理事長初音
        関係者初音
        感謝状贈呈         日本水琴窟フオーラム
                                               中野之也、鈴木重治、石塚進

秋晴れのこの日、こばと幼稚園の水琴窟初音会は新聞各社の取材も終えて無事終了した。 

日本水琴窟フオーラムでは中野及び鈴木氏と石塚氏の3名が全面的に協力し今回の水琴窟を完成した。 

幼稚園に「なかよしガーデン」のような環境が設置されているのも珍しいが、このガーデンは幼稚園児たちの自然とのふれあいを目的に作られた教育的なもの。自然を生かした風車発電、太陽電池、雨水利用の水循環装置、ビオトープのめだかの池。そして今回設置の水琴窟など、理想的な自然との共生環境が身近に集められた“未来志向の夢ガーデン”と言える。 

こばと幼稚園と「水琴窟」との巡り逢いは、幼稚園児の織部焼陶器の製作から始まった。平成13年に幼稚園の音響工事中だった当フオーラム会員の石塚氏が、移動型水琴窟壺の製作の提案をし、幼稚園児の水琴窟壺がいくつか完成した。 

その後、JR岐阜駅アクテブG2階の展示場で「こばと幼稚園織部焼展示会」が開かれた。水琴窟壺も展示され、音響装置も石塚氏の協力で設備、会場内に織部水琴窟の音が流れた。来場者にも好評で、加納園長は水琴窟設置の検討を始められた。 

昨年6月に岐阜県美濃市で開催された日本水琴窟フオーラム通常総会にも参加された加納園長は、日本水琴窟フオーラムに入会。水琴窟研究を開始され、鈴木さんの道場窯も見学された。岐阜県の水琴窟設置助成金申請認可。 

加納園長の熱意に我々も全面的な協力を約束し、なかよしガーデンは理想的な水琴窟ガーデンに変貌した。

まず、東屋横に水琴窟築山を造り、高音と低音の組み合わせで水琴窟瓶を2個埋めた。この2つの瓶は、鈴木親子2代瓶である。
 

築山の横には、瓶を逆さまにして地上に水琴窟を見えるように設置し、水を掛けて水滴音が聴けるようにした。埋められた水琴窟瓶を視覚でも確認するためである。  

築山水琴窟と東屋を挟んで、もう一つユニークな形態の「平和の水琴窟」を地上に設置した。 

この水琴窟は戦時中、火薬・化学薬品を入れるため作られた円形の陶器を改造・再利用し、鈴木さんが製作されたユニークな水琴窟であるが、氏のご好意で寄贈された。

水を掛けると音も良く響き、瓶の中に照明が入れてあり、水滴の落ちる様子が目で見ることができる。

子供達が自然と自由に触れあい、水や音と戯れることの出来る夢一杯の「なかよしガーデン」…。水琴窟を通じ、加納園長の夢に少しでも近づくことが出来たか、これからの課題であり楽しみでもある。 

              特定非営利活動法人 日本水琴窟フオーラム  

                                 代表理事 中野之也

●中日新聞・岐阜新聞記事

こばと幼稚園『織部水琴窟』

こばと幼稚園『織部水琴窟』初音会
 

7頁〜9頁

箕田小学校5年生が、水琴窟のある安養寺(鈴鹿市)を取材。NHKも報道
生徒さんの取材文3点の紹介

昨年5月28日、三重県の箕田小学校5年い組の生徒たち27名が安養寺を訪ね、お寺の歴史や水琴窟などを取材しました。その模様はNHKテレビで6月11日に放送されたとの事ですが、生徒さん達の楽しい取材文を数点ご紹介します。 (取材文提供・協力/安養寺)

 
10頁

石狩市の庭園水琴窟と室内水琴窟を見学
完成度高く、素晴らしい音色でした

 
11頁

『水琴窟所在調査』継続中
 
10頁

TOPICS

■編集後記
 
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特定非営利活動法人
日本水琴窟フォーラム会報Vol.7 2003年5月
※会報の画像等は省略してあります

NPO JAPAN SUIKINKUTSU FORUM 
特定非営利活動法人日本水琴窟フォーラム会報
Vol.7  
2003年5月
発行:特定非営利活動法人日本水琴窟フォーラム 事務局
 
1頁〜3頁

特報!
京都・伏見奉行所の発掘調査で、
同心屋敷跡地から『水琴窟』発見される!

○水琴窟のルーツを示す貴重な発見。
○原形を留め幕末の同心屋敷庭先から。
 

1991年当時、伏見城跡の南西部において「伏見奉行所発掘調査」が、京都住宅局と伏見城研究会によって行われた。調査地は、江戸時代寛永年間から明治維新の時まで伏見奉行所が置かれた場所(京都市伏見区)である。調査報告書は1997年に発行されているが、原形を留めた蹲踞水琴窟(洞水門)の詳細な調査例は、全国でも非常に希で貴重な報告と言える。又、今日の水琴窟のルーツと言われる「洞水門」が、伏見奉行であった小堀遠州の創案と言われているだけに、興味は尽きない。 

●伏見奉行所発掘調査(1991年4月〜8月)
所収遺跡:伏城跡(京都市伏見区片桐町)
報告書編集機関:伏見城研究会
 

●発掘調査主任の家崎孝治様から寄せられたメッセージ 

●伏見奉行所同心屋敷跡地の発掘状況(水琴窟発見の場所は建物103の地点)
注)報告書等では「洞水門」でなく「水琴窟」と表記されています。
 

【報告書の該当部分要約】
江戸時代後期と推測できる土層から、同心屋敷跡と見られる礎石建物群が発掘された。建物は1間幅六尺五寸のいわゆる京間である。濡縁の下は漆喰で床面を形成し、その外側に蹲踞の施設が設けられていた。特に、建物103には、沓脱石と蹲踞が完全な形で出土した。

 

4頁

十勝毎日新聞の記事

●雪穴に響く癒しの音

●創作水琴窟 壷中琴の響きが十勝平野にこだまする

帯広の陶芸家北川祥山氏(当フォーラム理事)が制作する壺中琴を囲み、この2〜3月に愉しい企画がふたつ連続で催された。二つ目の「俳句会」は、かんぽの宿十勝温泉が壺中琴の展示を記念して俳句を募集したもの。75句の応募から優秀賞3句、佳作7句が選ばれた。選者は現代俳句協会理事の鈴木氏。優秀賞の3人には北川氏の陶板作品がプレゼントされた。(十勝毎日新聞3月23日に紹介記事)
 
5頁

花の里「水琴窟竹庵」
  日本水琴窟フオーラム代表理事 中野之也

先の4月12日、千葉県芝山町の『花と緑と農芸の里』で「桜花の宴」が開かれた。朝から快晴、設置されたばかりの水琴窟の音色が響き、桜も満開のめでたい宴となった。

思えば、2001年秋、日本水琴窟フオーラム設立の頃、日本リゾートセンターの加藤社長〈『幻の音風景・水琴窟』発行人〉のご案内で、私は飛島理事と共に初めて「花の里」を訪問した。理事長の土井さんから「花の里」構想をうかがい、その未来にかける夢にいたく感激すると共に、やはり「花の里」には水琴窟がなければならないと思った。

今回、『花と緑と農芸の里』への水琴窟設置が急遽具体化し、加藤さんから「花の里・桜花の宴」までに水琴窟を作りたい、私に参加して欲しいとの連絡があった。理事長の土井さんが病気で倒れられ、「桜花の宴」までに完成させたいとの事だった。検討を急ぎ「「まほろばの滝」の前に「水琴窟東屋」を計画し、協力者玉井さんのデザインによる「水琴窟竹庵」のプランも完成、加藤さんと製作グループは3月下旬から準備工事を始めたわけである。4月5日に水琴窟の埋設工事をすることとなった。

●4月5日(土)
朝起きると天気予報は大当たり、激しい雨、春の嵐である。 この日「水琴窟竹庵」をデザインした玉井さんは、仕事先の新潟から成田に駆けつけ、私も加藤さんの車で同行したが、
芝山町の桜は東京より一週間遅い三分咲きで、春の嵐は寒く立っていられない。丘の上から下から、冷たい雨が風が吹き上げてくる。

今日の工事は中止して明日に延期とした。残念なことに予定が一日伸びたため、明日は加藤さんの製作グループは全員都合が悪く参加できないとの事で、明日は加藤社長と私の二名で水琴窟設置工事を完成させることになった。成田に戻り明日の天気回復を期待して、私は成田に泊まることにした。

●4月6日(日)
朝起きると快晴、昨日の春の嵐は嘘のよう。加藤さんの車で芝山に着くと、五分咲きの桜のもと芝山桜祭り。舞台が出来ていて、今日は音楽入りの工事となりそうである。

加藤さんと私は、水琴窟のご縁で知り合ってから10数年、いくつもの水琴窟を協力して製作してきた。しかしほとんどは庭師か作業人が付き、二人だけで瓶を埋める工事をするのは初めての体験である。これも土井理事長の「花と緑の農芸の里」作りへの熱意に感激し、この役割に熱いものを感じ取っていたからである。

工事を私達は楽しんだ。水琴窟瓶を置き台の上に防水モルタルで固定する。瓶の周りに玉石を積み重ねる。春の風はそよ風、それでも汗びっしょりで、瓶の周りを土で埋める。桜まつりの伴奏の音楽を聴きながら、工事は順調に進んだ。「水琴窟竹庵」の工事予定もいよいよ具体的になってきた。

●4月12日(土)
花と緑の農芸財団による「桜花の宴」が開かれた。満開の桜の下、大盛況で来客は300名を越えたという。「水琴窟竹庵」外観は完成している。すべて青い竹で作られ、見事な完成度である。新しい「水琴東屋」が又、一つ誕生したわけである。

この朝、加藤さんは更に「竹水鉢」を徹夜で製作し、取り付けをした。来客は時間と共に増えてきた。しかしこの水琴窟竹庵は、通路にあってもそれと気づかない人も多く、水琴窟があると聞いて初めて、その音色を聴きに来る人が次第に増え、午後には説明役の私も忙しくなった。午後3時「桜花の宴」終わる頃、また雨となった。
 

6頁〜7頁

平成15年度通常総会は、平家ゆかりの山里 湯西川温泉で開催されます

●創業1666年の老舗『本家伴久萬久旅館』が会場に! 

●露天温泉と平家落人料理が楽しめます。  

●水琴窟コンサートが同時に開催されます。 

●宿泊の翌日は、復元「平家の里」を見学! 

【開催概要】

○日時  2003年6月29日(日)午後3時30分〜4時45分
      ※2003年度『定例理事会』も、同日総会の前に開催します。

○場所  栃木県塩谷郡栗山村湯西川749
       本家伴久萬久旅館(ばんきゅうりょかん)会議室
             電話0288-98-0011
○水琴窟コンサート 6月29日〈日〉午後5時〜6時頃

      ※萬久旅館主催/宿泊客無料・一般有料
      ※出演/水琴窟師(秋間理事)、笙、オカリナ、語り部
○見学会 6月30日〈月〉午前中 ※正午に現地解散
       平家の里〈民俗文化復元施設〉/萬久旅館つくばい水琴窟


 

8頁〜9頁

新しい水琴窟文化をつくるために 
水琴窟師・田村造園代表 田村 光

古くから日本の庭は、遠くにある風景を身近に感じたいという考えや、実用的なものなどを次々に取り入れ、少しずつ進歩しながら庭の文化を現代に継承してきた。例えば、玄関先の目隠しや装飾として使用された袖垣、枯れ山水や蹲(つくばい)、筧(かけい)なども、いわばその当時の発明品であるわけです。

水琴窟も同じことが言えます。庭の一部として登場しますが、他の作品とは少しばかり違った性質を持っている。蹲手水鉢(つくばいちょうずばち)は見えていても、水琴窟その物は地面の下に隠れ、姿がないのです。かすかな音を発するだけの、見え隠れする、実に日本的なわびとさびを演出する装置という訳です。

しかし、作り方や維持が難しく、当時でもそれが普及したとは考えにくいが、情報の行き渡らない時の状況で、日本の各地に作られていたことは事実ですので、当時の庭師が積極的に新しいことを取り入れ、伝えようとして各地に足を運び実行した努力には、本当に頭が下がる思いです。

右脳の一部が壊れている人達は、何かと前例がないといっては、新しい試みを怖がる様です。そんなことでは良い文化などは芽吹いてはこない、ということですよね。 

ところが、当時の水琴窟の構造は、そのまま甕(かめ)の下に水が浸みていく、自然浸透式です。

その土地の地盤構造により、水が溜まらずに音が鳴らなかった物も考えられるのです。いつ聴いても良好な音が鳴っている物はなく、実に気まぐれな水琴窟たちだったに違いないのです。

それともうひとつ、長年の間に砂が堆積し、鳴らなくなってしまうというのも、実は当時の水琴窟構造の欠点でもあり、致命傷となるものなのです。 

もっとも当時では、材料や道具類に限りがあり、あのような方法以外なかったのかと思うと、それも仕方のないことかもしれません。甕の底に穴ひとつあけるのにも、かなりの時間と労力が注がれたと思うのです。 

しかし現代では、密閉度の高い素材や、加工する道具類が非常に良くなっています。ですから今の時代に何もわざわざ気まぐれや、短命を作ることはないと思うし、この良い道具を持つということで、滴を自在に操ることも不可能ではないのです。

ところが驚いたことに、この現代になっても多くの業者がいまだに、昔と同じような施工方法でやっているというのだから心配になります。甕底に水を溜めるために、タライを置いたり、もっとひどいのになると、どんぶり鉢を置いている物もあります。これらの方法だと、子供らがもし悪さでもして、水琴窟の穴に砂でも入れてしまったら、あっという間に音が鳴らなくなってしまうのは、誰が考えても明らかです。

また、甕の内部でパイプを立ち上げ排水トラップを取り、水位を確保するやり方も多く行なわれている様ですが、砂やゴミなどが溜まってしまう方法なので、立ち上げトラップは甕の外に取るべきでしょう。そうすることで、甕底に溜まった砂などを簡単に掃除できる方法が可能となるわけです。

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  ★ポイントアドバイス/甕底は水が漏れないように防水施工をする。
   排水トラップは甕の外に出し、はずせるようにするか、又はトラップとは別に、
   底払い用のパイプを設けるのも良いでしょう。

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こうして現在、水琴窟施工を業者に依頼する施主の多くは、早ければ10年で鳴らなくなる水琴窟を、言い値で買わされているのが実情なのです。

このことは今すごく重要なことで、1985年以来メディアなどで報道されるまでは、私を始めとしてほとんどの国民は、水琴窟の”す”の字も知らなかったわけです。資料も残ってないのですから、今でも水琴窟について詳しい人なんかはいないのです。昔から代々続いてきたのではなく、現在の全ての作り手は皆、1985年以降からの出発なのです。ですからその作り方も様々なのです。

水琴窟は、明治大正の頃からほとんど作られなくなってしまいました。これは環境の悪化というものも考えられますが、砂が溜まって鳴らなくなった水琴窟は、人々に気が付かれる事なく消えてしまったのです。

二度とこのように消滅しないために、私達は水琴窟の構造から見直して改良しなければ、未来にこの美しい文化を残すことは困難と感じています。せっかく作った芸術も、後世に残せないのでは、全く無意味ですからね。また、当時からこの技術は、それぞれの業者たちが秘伝として隠し守ってきたものです。水琴窟が消えてしまった原因というのは、ここにもあるのです。

このことは、現代でも全くおなじことが言えます。お互いがどんな方法で作っているのかを、明かすことが少なく、また困ったことに、それぞれが自分のやり方に誇りや自信を持っているということです。私も同じ職人、気持ちはわかりますが、これからはもっとオープンにして技を磨かなければ、進歩は望めません。

それからもうひとつ、今までの水琴窟の外観は、和風庭園に溶け込んだ物ばかりで、水琴窟の存在が分かりにくいのです。これからは、水のある所にならどんな場所にも、自由な発想で、コンセプトやデザインも背景と合わせながら、アイデア物や面白い物を作っていく必要があるとは思いませんか。

昭和の後期になってやっと復活した水琴窟。この時代に磨きを掛け、近い将来にこの水琴窟を、日本の美しい文化の代表として、世界に自信を持って紹介することができればと思っています。

そして、いったい文化って何だろうと考えてみると、その時代ごとの発明や発想に、皆が共感して受け入れてきた物だったんですね。これからも、日本水琴窟フォーラムの皆さんと一緒に、水琴窟の可能性を探りながら、さらに新しい文化を作って行きたいと思います。
 

10頁〜11頁

「無言館」を訪ねて 
日本水琴窟フォーラム代表理事 中野之也
 

「祈りの絵」展にでかけた。
平成九年に
長野県上田市に完成した無言館は、太平洋戦争で亡くなられた画学生の遺作・遺品を全国から集めて展示する美術館である。この「祈りの絵」展は、無言館の全国巡回展である。東海地区からも、戦後五十年間保存してあった遺作が、はじめて展示されると新聞で報道された。

この画学生たちと私は同世代、この遺作に込められた心が、ひしひしと伝わってきて、私は無言のまま、一枚一枚の絵の前に立ち止まつた。五十年前の思い出が、次々に水があふれ出るようにわき上がってくる。そしてこの絵に残した画学生たちの心が、私の心と一つになることを強く感じた。「祈りの絵」展は私の心の中に、上田市の「無言館」には、ぜひ一度行ってみたいとの思いが残った。

この年の十一月十八日、私は戦友会「二一会」に参加のため東京にでかけた。「二一会」は五十七年目を迎えた戦友会で、毎年一泊の旅行会を続けている。戦後五十七年ともなると、出席者はわずか五名である。私はこの戦友会に戦後五十年目に初めて出席した。当時の中隊長も元気で五十年前のことを昨日のことのように話をしていた。その隊長も今年亡くなられたとのことである。

私の今回の上京には、もう一つの目的があつた。それは、趣味としている水琴窟で知り合った日野市「七生造園」の濱田さんを訪問することであつた。

濱田さんは、昭和六十年NHKテレビで水琴窟の放送があってからその研究を始め、美濃市にも出かけられ、私の日本の音研究所にも来訪された。その後、ご自分で水琴窟を研究製作され、富士の裾野に独自の水琴窟をはじめ、いくつもの水琴窟をつくられた。それ以来、私も何回か日野市の濱田さんを訪ねている。

三年半前、近くの蕎麦屋の室内に、水琴窟が完成したと連絡をもらい見学に行った。室内に響く水琴窟を聴きながらの、蕎麦の味は忘れられない思い出となつた。その日濱田さんは元気だったが、翌日から入院手術の予定と聞いて驚いた。あれから三年半、病気療養中とは聞いていたが、多忙に追われお見舞いもせず失礼していたところ、

昨年濱田さんから、「やっと元気になりました。まだリハビリ中ですが…」と電話をもらい、ぜひお会いしたいと連絡をした。

こうして十一月二十日、日野市濱田さんの事務所を、三年半ぶりに訪問した。まだリハビリ中で、杖をついているが以前とは全く変わらずお元気で、事務所の水琴窟も変わらず、美しく響いている。つもる水琴窟の話に花が咲いた。

「やっと元気になり車の運転も出来るようになった。ここからは近いので車で一緒に信州上田市に出かけませんか」と、濱田さんから提案があった。宿泊も別所温泉に予約してあるとのこと。彼は元気になったらテレビで見た「無言館」へ、行きたいと考えていたという。「渡りに船」とはこのことかと、その偶然に驚いた。実は「無言館」には、私もぜひ行きたいと考えていたのだ。近くの信州戸倉温泉「千曲館」に、二年ほど前三連水琴窟が完成しているので、見学することも出来る。ぜひともにとご同行をお願いした。

出発は午後になった。中央高速を走り、山の峠をいくつか越えて、日の暮れた午後五時別所温泉に着いた。一人で運転の濱田さんは、昔とかわらず元気である。

別所温泉は信州の鎌倉と言われ、古い寺院の残る所、俵屋別荘は古い四階建楼閣が残る木造の旅館。今夜はゆっくりと泊まり、明日無言館に行くことにした。

信州の紅葉は盛りを過ぎている。無言館は塩田平を一望の下に見下ろす静かな丘の上にひっそりと建っている。開館前に到着した。

無言館に入ると中は、美術館とは思えない暗い照明である。戦前の暗い明かりの下で描かれた絵、五十年の歳月はこの暗さが効果的であろう。八月に見た「祈りの絵展」とは同じ展示もあるが、初めての絵が多い。開館と同時に十人ほどの入場者があったが、館内はここでは全く静粛である。説明や言葉は無用である。八月「祈りの絵」展で私が体験した、同じ静粛な空間である。

絵としての作品を鑑賞するのではなく、絵と自分が自然に、そして素直に対話を始めている。同世代の私としては特にそんなことを強く感じる。画学生たちは筆と色でキャンパスの中に心を塗り込めている。自分が軍隊に入る頃どんなことを考えていたのか、後から後から心の中にわき上がってくる。

五十七年後の戦友たちに会ったためかも知れない、この絵が描かれた時代を昨日のことのように思い出した。入場料は出口でお志をというのは、ここでもう一度自分の心の中を振り返ってとの願いであろうか。

無言館の外に出て紅葉の塩田平を静かに眺めた時、私は一つの短歌を思い出した。

「いつさいの 言葉拒否する響きあり  水琴窟は何を語るか」  ひろ子

目の不自由なひろ子さんが水琴窟を初めて聞いたとき、歌われた短歌である。

水琴窟は、言葉の必要はない、四季それぞれに、この音は自分の心との対話である。私は無言館の絵と、水琴窟は共に同じ地点に立っていることに気がついた。

私はこの無言館の岡の上に、水琴窟があったならと想像した。無言館に入る前に静かに水を流して水琴窟を聴く、そして無言館を出た時もう一度、この水琴窟を聴く…。水琴窟の響きは、永遠に忘れがたい音風景として、自分の心の中に刻まれるのではないかと思う。私の心にふっと浮かんだ、晩秋のひとつの夢であるかもしれない。無言館の晩秋は、大きな夢を私に与えてくれた。ここを訪ねて本当によかった。こんな機会を与えてくれた濱田さんに感謝の気持ちで一杯である。
 

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水琴窟に魅せられて 
日本水琴窟フォーラム会員〈旭川市〉 細野 進

何時の頃からか、NHKラジオの「音に会いたい」という番組で水琴窟の妙音に出遭い、その「玄妙な音」に魅せられて、日本水琴窟フォーラムの仲間となりました。北海道は歴史が浅いので、古い水琴窟はありません。冬季寒冷な気候風土にも因があるのでしょう。しかし、何とか北海道にも本格的な水琴窟が広まらないものかと、常々思案していました。

昨年6月フォーラムの総会に出席した折、日本の南端の沖縄の石垣島と小浜島に妙音が発したと聞き、さすれば北端の北海道にも本格的な「水琴窟」をと思い立ち、試行錯誤を繰り返しながら、ひとりで庭を掘り始めました。近所の人達からは「何が始まるのか?」と問われますが、即答が出来ません。「金の延べ棒を埋める」と答えて茶化すばかりです。

このような経緯で水琴窟が昨年9月下旬に完成し、初音会を開いた模様はすでに会報で紹介された通りですが、施工の折冬季寒冷の地を考慮して種々の仕掛けを考慮しました。 

○水抜き装置 ○水位調節 ○芥の流入阻止 ○メンテナンスの容易 ○集水盤の特製 

また、埋設の「瓶」は常滑市・前川製陶所の特製品です。フォーラム会員である前川社長が長年工夫研究されただけあって、その音色は絶妙の極みです。在来の「水琴窟」では有り合わせの「瓶」を代用しているので、それらとは比べものになりません。

また、中野代表が離道の折、「冬季厳寒期に“かまくら”の中で妙音を楽しんでみたい…」と宿題を提起され、それではと、1月の厳寒期に“かまくら”を構築しました。再度中野代表夫妻の來旭を受け、寒中のかまくらで銘酒を傾けました。これまた格別の趣があり、その雰囲気は風流の一語に尽きました。

この「かまくら水琴窟」は、NHK-TVの番組「ほくほくテレビ▽あの町この人」で放映され、北海道に「水琴窟」の認識が広まったことであります。私達日本水琴窟フォーラムの活動により、「水琴窟」の風流妙音が喧騒な世間に響き渡ることを期待するものです。これで、少しでも慌てふためいている人々の心が穏やかに鎮まればと、本気に思案しております。   〈編集部要約〉


 

◆イベント予告
7月20日(日)新宿副都心のシンボル=新宿パークタワーで水琴窟コンサート!!

主催のリビングデザインセンターOZONEに協賛する形で、
水琴窟コンサート(水琴窟+尺八+箏の共演)を実施します。

この機会に是非ともご来場ください。★入場料無料(コンサート&イベント)

日時:7月20日(日)11:50〜12:30/16:00〜16:40

会場:東京都新宿区西新宿3−7−1 パークタワー内 リビングデザインセンターOZONE
    (1Fの吹き抜けアトリウム空間で演奏予定)TEL03-5322-6500(オゾン) 

イベント名:OZONE夏の大茶会(期間:7月17〜22日)
      世界のお茶を楽しむインテリアとティーウエア

◆茶道遠州会主催の夏期講座(7月)で中野代表が講演。

 講演タイトルは『小堀遠州の洞水門』

水琴窟のルーツとして知られる小堀遠州創案の洞水門。講演では、会報巻頭でもご紹介した伏見奉行所での水琴窟(洞水門)の発掘調査事例と共に、現代の水琴窟普及の状況、日本水琴窟フォーラムの事業、全国各地の活動事例など90分にわたり紹介いたします。

 

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特定非営利活動法人
日本水琴窟フォーラム会報Vol.8 2003年9月
※会報の画像等は省略してあります

NPO JAPAN SUIKINKUTSU FORUM 
特定非営利活動法人日本水琴窟フォーラム会報
Vol.8  
2003年9月
発行:特定非営利活動法人日本水琴窟フォーラム 事務局
 
1頁

新宿副都心のシンボル
新宿パークタワーの吹き抜けアトリウムで
爽やかな水琴窟コンサートが催されました

7月20日『OZONE夏の大茶会』の企画イベントに日本水琴窟フォーラムが協賛。
まだ全国でも珍しい『水琴窟コンサート』の熱演に多くの観客が魅了されました。

新宿パークタワーは、副都心のシンボルと言われる先端的な大規模複合ビルで、ホテルや企業ショールーム、多目的ホール、飲食施設などさまざまな機能を持っている施設です。イベント主催はリビングデザインセンターOZONE。昨年も開催された『夏の大茶会』は1週間のイベント期間中10万人以上が来場すると言われる、お茶をテーマにした生活提案イベントです。

そして、水琴窟コンサートの会場となったのは、1Fの大吹き抜けアトリウム空間。コンサートは午前と午後の2回催し、会場は満席状態。やはり、お茶と水琴窟の世界には共通する世界観・自然観が有るようです。

出演者は、水琴窟コンサートでも定評のある尺八の宮崎青畝(せいほ)氏、箏曲の川井亜弥子氏、そして水琴窟師の田村光氏(当フォーラム理事)。大吹き抜け空間での演奏は今までに経験が無く初めての試みでしたが、多くの観衆が集まりイベントは成功し、貴重な体験となりました。

◆海外に水琴窟を紹介するテレビ番組が企画され、
OZONE水琴窟コンサート』の模様が収録されました。

今回の水琴窟コンサートを収録した映像企画制作会社によると、日本の様々な事柄を海外へ紹介するTV番組「 JAPAN VIDEO  TOPICS」を毎月英語、スペイン語、フランス語、アラビア語、中国語版で製作しており、当番組「Japan Video Topics」は外務省海外広報課が企画し、日本のことをより良く、より広く世界の方に知っていただくための番組ということです。在外の大使館や領事館を通じ世界およそ110カ国で放送が予定されているようです。今回の番組企画「水琴窟」(3分)の製作に関し、日本フォーラム事務局が現在相談にのっています。取材や製作に時間もかかるようですが、世界に放映される日が楽しみです。
 

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OZONE/水琴窟コンサート

新宿パークタワーのコンサート会場には、中野代表はじめ、松島・新作・飛島理事、谷口夫妻、杉並の上野様ほか近隣の会員、そして今回のイベントへの参加をお誘い頂いた茶の湯フォーラム堀内様など、東京周辺の水琴窟仲間にご参加いただきました。

演奏者プロフィール ***********
◆宮崎青畝(みやざき・せいほ)
1948年静岡県生まれ。1968年より琴古流尺八を前田浩畝、横山勝也、横山蘭畝各氏に師事。1975年NHK邦楽技能者育成会20期卒。1978年瀬戸龍介氏のグループに参加。1980年パリにてSax奏者野田燎氏の作品に海外初参加。尺八独奏をルモンド紙に絶賛される。1986年アビニョンのフェスティバルにて地唄舞の舞台での即興演奏をフランスの各紙に賞賛される。この後、大岡信氏との詩の朗読、地唄舞の閑崎ひで女史、フィンランドのイヌイット(北方民族)の声、水琴窟の音・箏・三弦・琵琶・ジャズ・クラシックなど国内外を問わず様々なジャンルと共演を重ねている。

◆川井亜弥子(かわい・あやこ)
高崎芸術短期大学音楽科卒。NHK邦楽技能者育成会32期卒。
卒業後、邦楽界の第一人者沢井忠夫氏の元で内弟子として師と共にCD、ミュージックビデオやコンサートに参加演奏する。独立後は、国内の演奏会の他、民音とJMF共催による「フランス革命200年記念パリ公演」、カナダやニューヨーク、ロサンゼルスなど海外フェスティバルへの出演も多い。

◆田村光(たむら・ひかる)
日本水琴窟フォーラム理事。静岡県三島市在住。水琴窟の製作施工の経験を活かし、ステージ演奏に利用できる「移動型水琴窟」を考案。20回以上の水琴窟コンサート経験を持つ水琴窟師。


 

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遠州茶道会の夏期講座で中野代表が
  『小堀遠州の洞水門』を講義しました

 水琴窟のルーツ=小堀遠州創案の「洞水門」と
 今日全国に普及する「水琴窟」について

◆7月19日 於:国学院大学院友会館(東京)

遠州茶道宗家の小堀宗慶様とのご縁は、当フォーラムの加藤理事が平成3年に刊行された書籍「幻の音風景・水琴窟」にご寄稿を頂いた時に始まります。今回のゲスト講演のタイトルは『小堀遠州の洞水門』。参考資料とスライド、水琴窟サウンドの実演も交えた1時間30分のゲスト講演に、茶道関係者が約120名ご参加されました。

○日本の音風景「水琴窟」との出会い
天声人語での水琴窟記事が発端となり普及/京都伏見区・苔涼庭や岐阜美濃市・今井邸、奈良・当麻寺の水琴窟との出会い/海外(アムステルダム)へ

○水琴窟のルーツ、小堀遠州創案の洞水門
桜山一有筆記の古文書(小堀遠州の洞水門に関する記述)/遠州宗家の洞水門図/洞水門の事例紹介

木曽千村家・春秋園(江戸初期〜中期/木曽古文書資料館)
名古屋市・小寺邸青悟亭(江戸中期)
三重名張市・吉住邸庭園(江戸後期)
京都・伏見奉行所跡地(江戸後期)

○音風景と茶道
移動式水琴窟と壷中琴の実演も交え、小堀宗慶様と中野代表の音風景対談。

○現代に甦り、全国に拡がる水琴窟
水琴窟の全国の普及状況を設置事例や活動事例と併せて紹介(水琴窟東屋/水琴窟コンサート/創作水琴窟など)。日本水琴窟フォーラムの紹介。
 

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栃木・湯西川温泉で開催された通常総会に
  全国各地から会員が多数参加

2003年度通常総会の概要報告】

●開催場所/栃木県塩谷郡栗山村湯西川749
      本家伴久萬久旅館会議室

●6月29日催された湯西川温泉での2003年度通常総会は、昨年度の二倍以上の水琴窟仲間が参加し親交を深めました。

露天風呂と平家落人料理と水琴窟コンサートが同時に楽しめる老舗旅館での総会ということもあり、今回の参加者は役員・会員・同伴者・オブザーバー含め総勢34名と予想より多くなり、総会準備の疲れも何処かへ飛んでゆきました。参加者の地域は、北海道・栃木・東京・神奈川・静岡・岐阜・愛知・京都など遠路からの方も多く、また、水琴窟コンサート関係者5名を含めると40名近い水琴窟仲間が一同に集まったことになり、あちらこちらで情報交換や談話など、とても賑やかな集いとなりました。
 

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伴久旅館水琴窟コンサート

総会会場となった萬久旅館では、総会開催に合わせ水琴窟コンサートを企画。演奏は、水琴窟師に栃木の秋間理事、笙は国立劇場雅楽公演をはじめ正倉院復元楽器の演奏を手がける『怜楽舎』所属の田島和枝氏、オカリナにアルバム『光の道』で一躍NHKはじめマスコミの注目を集めた佐藤一美氏、語り部には民話伝説への深い理解と魅力的な語りで人気の島田トヨ子氏と実力派揃い。総会参加者も一般宿泊者も、水琴窟と一流のアーティストとの共演を存分に堪能させていただきました。

※このコンサート企画は、萬久旅館の女将:伴玉枝様(当会会員)はじめ、栃木の秋間理事、小平先生、柏崎様のご好意とご尽力で実現いたしました。
 

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『洞水門』が水琴窟のルーツと言われる理由
 小堀家に伝わる「洞水門」の工夫 小堀宗慶

書籍『幻の音風景・水琴窟』に、遠州茶道宗家第十二世・小堀宗慶様による『小堀家に伝わる「洞水門」の工夫』と題する原稿が掲載されています。洞水門の事、水琴窟との関係をご理解いただく上で、とても分かりやすい内容なのでここにご紹介します。
 
7頁

江戸時代に製作された『洞水門』(1)

●木曽千村家・春秋園(江戸初期〜中期以前/木曽古文書資料館)
尾張藩の旗本千村良重の屋敷跡(現・木曽古文書資料館)の庭園で発見された洞水門。直径30センチ、高さ45センチの素焼きの甕が利用され、現在も澄んだ音を出す。甕の上に載せてあった瓦の鑑定から江戸中期以前のものと推定された。

●名古屋市・小寺邸青悟亭(江戸中期)
名古屋城近くの武家屋敷にある数寄屋風座敷の坪庭に面した縁先に設置された洞水門。屋敷は江戸中期に建てられ、この洞水門も先祖代々伝わったものとの事。素焼きの瓶を使用しており、水落ちの工夫から30゜の勾配がつけられている。

 

8頁

江戸時代に製作された『洞水門』(2)

●京都・伏見商家跡地(江戸時代)
発掘された水琴窟(洞水門)は、高さ約50センチ強。断面の実測図や写真でも明らかなように、甕を半裁した底の部分を甕内部に鉢として設置し、保水装置としているのが特長となっている。これは、一定の水が溜まる間、水滴音を発生させないという、従来の構造を改良したものと考えられる。また、甕の中からは、水を伝わらせて水滴をうまく落下させる為に用いられたと思われる、針金をよったものも見つかっている。     ※断面図掲載
(第30回京都市考古資料館文化財講座資料より)

●三重名張市・吉住邸庭園(江戸後期)
三重県名張市の二十二代続く医者の屋敷・吉住邸庭園で発見された洞水門は、使用された陶器などの調査の結果、江戸後期のものと推定されている。甕が破損し音が出ないため、新たに甕を埋め、石組み等は江戸時代のものをそのまま使用し復元された。※断面図掲載
 

9頁

滴を科学する
  水琴窟師・田村造園代表 田村 光 
 
10頁〜11頁

水琴窟の所在調査にご協力ください
 
12頁

柳田國男ゆかりの旅館「柳翁宿」に水琴窟 細野 進

7月初旬に北海道の細野進様から次のような貴重な情報を、写真と共にお寄せいただきました。

〜夢春です〜

湯西川温泉での総会の帰路、「仙台野草園」の水琴窟を確認してきました。その後、遠野市に寄り道をしましたところ、柳田國男が「遠野物語」執筆のために滞在した高善旅館を移築保存した「柳翁宿」に水琴窟がありました。手入れが行き届いてはいませんでしたが、それなりに音はしていました。

◆イベント予告◆

第2回北海道水琴窟フォーラムが9月28日に開催されます。

日時:9月28日(日)午後1時より

会場:かんぽの宿・十勝川(帯広駅よりバス20分)

北海道の北川理事が中心となり、今月の28日に「第2回北海道水琴窟フォーラム」が開催されます。

このシーズンは北海道の一番美しい季節。そして、会合と併せて◎吉野大地氏による、インド音器ハルモニウムに合せて水の音を楽しむ会(40分)、当会の中野代表の講演(30分)、俳句の鈴木先生の講演(30分)が予定されています。また、午前10時からは、かんぽの宿主催の「俳句会」も予定され、「壺中琴を詠った俳句」も発表される予定です。この機会に一度、北海道帯広まで足をお運びください。

◆会員募集中

任意の文化団体「日本水琴窟フォーラム」が2001年1月に発足して以来、会員の皆様を中心に活発な活動が全国的に展開されてきました。そして、2002年3月の特定非営利活動法人化より約1年半を経過した現在、おかげさまで日本水琴窟フォーラムは会員数も約100名規模となり、水琴窟関連団体としては国内最大の会となっています。水琴窟を愛好の方はもちろん、興味のある方、造園業の方などのご入会をお待ちしています。詳しくは、ご連絡をいただくか、ホームページをご覧ください。


 

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特定非営利活動法人
日本水琴窟フォーラム会報Vol.9 2003年12月
※会報の画像等は省略してあります

NPO JAPAN SUIKINKUTSU FORUM 
特定非営利活動法人日本水琴窟フォーラム会報
Vol.9  
2003年12月
発行:特定非営利活動法人日本水琴窟フォーラム 事務局
 
1頁

続・平成水琴窟物語
向陽スポーツ文化クラブに珍しい『2連(地上・地下埋設の2連式)水琴窟』が誕生

●暮しの手帖・創刊50年記念特集(1998)で紹介された水琴窟が、移設を機に全国でも珍しい2連水琴窟に。

東京は杉並の区立向陽中学校の敷地内に、PTAが母体となって28年前にできた、コミュニティセンターのはしりのような地域組織「向陽スポーツ文化クラブ」が同居している。当フォーラム会員の上野章子様が会長を務め、各種スポーツ・文化・青少年育成活動を実践する会員数1000人以上の組織。毎年夏には万葉植物同好会とともに「象鼻盃(ぞうびはい)」を楽しみ水琴窟に耳をかたむけ万葉の心を遊ぶという風流なイベントも催している。

5年前、有志の手により初めて地上型の水琴窟が中学校敷地内に製作され、「暮らしの手帖」でも『平成スイキンクツ物語』として大きく紹介されたが、この11月下旬、クラブハウス前の「万葉植物園」への水琴窟移設を機会に、日本水琴窟フォーラムとボランティアの有志が協力し、国内でも初めてと思われる地上型(移設時に改造)と新設の埋設型の『2連水琴窟』に生まれ変わった。

当日は、名古屋から中野代表が駆けつけ、近隣に住まわれる会員谷口旦さんも甕の水位設定に協力、更に施工では黒島理事の紹介で、頼もしい助っ人田中正光さんとその仲間が参加した。

尚、移設に伴う2連水琴窟製作にあたり、それぞれの甕に適当な水位測定が谷口旦先生と新作氏らにより行われた。施工に関しては、移設水琴窟の方は、排水部の改造後に移設前と同様に四方を石版で囲い、水落ち部の造作も工夫された。新設水琴窟は、地下浸透の自然排水とした。

クラブ会員の志あるスピーディな募金を基に、上野会長ならびに万葉植物園の主で園開設当時の校長・高橋さんの熱意で実現した2連水琴窟。来年の1月下旬には、向陽スポーツ文化クラブでお披露目会を催す予定とのこと。問い合わせ先:03-3329-3935(向陽スポーツ文化クラブ)
 

2頁

2連水琴窟の妙音と万葉植物が織りなす
向陽のサウンドスケープ

上方にある地上型水琴窟に水が注がれ、ピロ〜ン、ポロロ〜ンと風雅な音色を奏で始める。暫くして、下方に設置された埋設型水琴窟にも水が流れ込み協奏を始める。全国でも例を見ない組合せの2連水琴窟の誕生である。さまざまな万葉植物に囲われた理想的な環境のもとで、水琴窟は耳に心地よく響き、万葉の草花が目を楽しませる。そして、想いはいにしえの万葉人の歌詠みの世界へ....。

向陽スポーツ文化クラブの水琴窟は、まさに自然と人が共生するサウンドスケープ(音風景)と言えよう。
 

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第2回「北海道水琴窟フォーラム」を帯広の陶芸家北川祥山氏が主催しました

「日本古来の音文化知って」と、壺中琴とインド楽器の共演・
水琴窟の講演・俳句発表会など多彩な企画で2003年9月に開催。

  ※十勝毎日新聞(2003.9.14)に予告報道
 

●新しい日本の音文化「壺中琴」と共に

紅葉彩る十勝で、さる9月28日第2回北海道水琴窟フォーラムが開催された。半年雪と氷の北国・北海道では、最近まで水琴窟の妙音を聴くことは難しかった。今日、壺中琴などフォーラム仲間の創意工夫により、水琴窟が着実に認知され始めている。十勝窯の壺中琴は、水琴窟を庭園から解放し自由な空間に飛躍させた21世紀の水琴窟と言える。野外でインドの鍵盤楽器と共演し、俳句の会で身近に聴き楽しめる....。こうした事にこそ、日本の音文化の姿があるように思う。
 

4頁〜5頁

●樹齢2600年の大樹をイメージした
大型の水琴窟モニュメントが登場

●鶴姫公園の大樹型水琴窟モニュメント
 愛媛県越智郡大三島町宮浦





水琴窟製作施工を通じて、長年水琴窟の普及に寄与している田村理事は、大三島町村役場からの依頼で、水琴窟を組み込んだ大型石造モニュメントを製作、さきの10月下旬、鶴姫公園に設置されました。以下に、田村氏のレポートをご紹介します。

水琴窟師 田村光 

四国愛媛県の大三島町は瀬戸内海の広島よりの、島から島へ渡る大橋の途中にある中でもいちばん大きな島に存在します。島には、歴史に名高い大山祇(おおやまずみ)神社があり戦国時代の武将達の鎧や武器などを数多く所蔵している所です。

その時代の武将に恋したという悲恋物語、鶴姫伝説というのがあります。武将の死を嘆き瀬戸内に身を投じた鶴姫が身に付けていた鈴の音が今でも海の底から聞こえてくるという・・・、そんないわれにちなんだ物をということで、鈴の音に似た心安らぐ物として「水琴窟」がテーマに上がったそうです。

ホームページを見て、私のところに町役場の担当者と設計者が7月に訪ねてきました。その時にアイデアを頼まれましたが、ちょうど以前松島様にも紹介した”うろ”のプレゼンテーションの説明と10分の1の模型を見せた所、大山祇神社境内には天然記念物の1500年以上もの、大くすのき郡が存在しそのイメージにぴったりと言う事で、そのまま採用される運びとなりました。

設置場所は、その近くに新しく建設している公園、鶴姫公園です。

今までの水琴窟にはないスケールの大きさとデザインやコンセプトから、人々に末永く愛される物を求めてさまざまなアイデアを盛り込んであります。

例えば、今まで水琴窟は砂などが溜まり寿命が短いと言われて来ましたが、独自工法で100年続く水琴窟を考えています。

今回のこの作品は、大木のイメージを花崗岩で彫刻してモニュメントにしてあります。モニュメントの上部にししおどしの原理を組み込んで、一定量(200ml)の水が1分間に一度、大木の外まわりを回って’うろ’の中へ入り込みます。うろの真下には水琴窟があり、水琴窟の音は、1分間に一回定期的に流し水の音から・・余韻のしずく音へと変化して行きそれを繰り返します。うろの穴は大きくなっているので頭を入れて音を聴けますし、大木から伸びた枝からは直接’カメ’の中の音を聴ける聴音管がそれぞれ2箇所設置してありますので、たのしみも倍増、騒音にも負けることのない水琴窟が誕生します。
 

6頁

旧東海道・鳴門宿の街おこしで、
鈴木重治さん製作甕の『水琴窟小路』

名古屋市緑区鳴門町で、宿場跡を文化遺産として残そうという計画が進んでいる。鳴門宿は江戸時代の1800年頃70軒ほどの旅籠や鳴門十一カ寺が並び賑わった街道の要所。

計画では、高札場の復元や宿場入口の常夜灯の整備のほか、裏路地に名前を付けて親しんでもらう計画も。『水琴窟小路』には、長年かめ作りをしてきた鈴木重治さん(当フォーラム会員)の様々な形の水琴窟が道端に並べられる。(朝日新聞・2003年12月7日)

◆環境づくり活動促進事業で「水の音」講演。

三重県四日市で活動するブンテックNPOグループが11月下旬に主催した教育セミナー『まちの音地図をつくろう』で、東海大学工学部応用物理学科教授・渡部由雄氏(当フォーラム会員)が『耳を澄ます/水の音』という水琴窟に関連したテーマの講演をおこなった。三重県青少年地域ふれあい環境づくり活動促進事業の一環で、呼びかけたのは、主催者側のリーダー西村さん(当フォーラム会員)、講演は2時間にわたり四日市市笹川中学校体育館で開かれた。

◆中学校教科書の副読本で「水琴窟」を紹介。

現在使用されている中学校教科書の副読本に「暮らしの中の音楽」と題し「水琴窟」が写真と図解で紹介されている。写真は、松島理事が栃木の秋間氏製作の水琴窟を聴いているところ。文では、自然の音を楽しむ感性の大切さと水琴窟の仕組みが記されている。

 

7頁

「水琴窟」に魅せられて 細野 進
 
6頁

TOPICS

●北海道北見市に国内最北の水琴窟が登場

北海道北見市田端町にお住まいの三好長俊様より、庭に2基の水琴窟を自分流に作りました、とのご報告を写真付きで頂きました。北見市に設置という事なら、この水琴窟が現在「最北の水琴窟』という事になり興味津々です。

●ヨーロッパへの「壷中琴」寄贈計画が進行中
 陶芸家北川祥山氏製作の創作水琴窟「壷中琴」をチェコ・ピルゼン市、
 ウィーン大学、ドイツ等に寄贈

日本庭園を通して日本文化を広める目的で国際交流をすすめるNPO日本ガルテン協会のコーディネーションで、現在陶芸家北川祥山氏(当フォーラム理事)の創作水琴窟『壺中琴』の寄贈計画が進んでいる。寄贈先として現在、チェコ共和国ピルゼン市/ベルリン緑地公社/ウイーン大学など数カ所が候補地として検討されている。


 

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