(10)『水琴窟との出会いから』 

        天白小1年A組担任 宮西玲子 2005年2月
 
 

    
 
水琴窟をいただけるというお話しを西村さんからお伺いしたのは、昨年末のことでした。その時は、「学校に水琴窟があれば風流でいいなあ。子ども達にも見せてあげたいなあ。」、「前にいた学校の近くのコミュニティセンターのように玄関ホールに水琴窟があるちょっとしたお庭ができれば、学校に温もりが生まれるだろうなあ。」という軽い気持ちから、単なる観賞用または観賞用的「物品」の一つとして水琴窟をいただく決心をしていました。

 学校長の許可を得て、いよいよ水琴窟をいただく日が決定しました。そして、年が明け、本年1月11日の午後3時過ぎ、現物が届きました。水琴窟ってどんなものだろうと少しワクワクしたものの会ってみると、何の飾り気もない陶器の壺でした。一つは茶色(埴輪色)の円筒形、もう一つは黒灰色(瓦色)の花びん型で、一見「これは何だろう?」と思うような地味な物品でした。

 西村さん達が帰られた後から、私の実験は始まりました。翌々日1月13日の授業に向けての準備でした。さてさてどんな音がするのかなと思って、一人で最初の実験をしてみました。水琴窟の底にどれくらいの水を入れたら響きの良い音がするか、いろいろと試してみました。その時は、「水琴窟との最初の出会いの場面では、できるだけいい音で子ども達と出会わせたい。」という願いが私の胸中の大部分を占めていました。
 
 しかし、実験2日目の朝、私の思いは変わりました。水を入れてから、忘れた頃にポロンと音がする。これぞ、水琴窟の醍醐味。自分自身の体験により、水琴窟の面白さの真髄に気づくことができました。そして、自分自身で注水すること。注水した後、しばらく待つこと。この二つこそ1月13日の授業(水琴窟との最初の出会い)で子ども達に実感させたい出来事、重要事項であることに気づきました。

 1月11日の夜は、水琴窟の底に入れる水量のことを、1月12日の夜は、底の水量ではなく、実験2日目で気づいた大切なこと(水琴窟の醍醐味について)、西村さんにお尋ねしたり、お話ししたり。その日からは、毎晩のようにお電話で西村さんと水琴窟談話をするようになりました。1月13日の授業のこと、その後の授業のことは日本水琴窟フォーラムのホームページで紹介していただいています。ご覧ください。

 さて、水琴窟と出会って、約1カ月、児童の興味・関心はどんどん広まり、深まっていくことに注目させられました。非科学データであり実証はできていませんが、児童の発言・作品、学習態度から判断し、水琴窟は児童の学習能力や情緒面でなんらかのプラス効果をもたらす魅力ある「教具」でありそうな気がしてきたからです。我がクラスの児童を見ていて、水琴窟は児童の「集中力」や「落ち着き」を養う上に、「心のイライラ」「心のトゲトゲ」も解消してくれるような壺だなと思えるようになってきました。

 その根源は水琴窟のどこにあるのかは、まだよく解りません。分析もしていませんが、このような水琴窟を使った教育の実践を、他の学級・学年や他学校でも今後いろんな機会に試行していただければと思います。

◆[水琴窟の教育的魅力]
  1.水琴窟は、集中力を養う効果的な物体である
  2.心のリラックスが図れる癒しの壺である
  3.好奇心・興味・関心を喚起する物体である
  4.想像力・創造力を高める学習ができる
    (絵画・音楽・詩などの発展学習)
  5.どこでもだれでもが体験できる身近な壺である
    (各教科・各分野で児童の興味の窓口となる)
 

  

 

 

 

                                                   
                                             戻る
 


このコーナーTOPに戻る

Copyright (C) Japan Suikinkutsu Forum. All Rights Reserved.